達人の館

   本物の芸をじっくりと味う、大人のためのコンサートを企画・主催しています。

思っていたように今回の台風は
今までにないほど各地に被害をもたらせました。
台風は自然災害には違いありませんが、
私は100パーセントそう考えてはいません。
世界各地に広がる異常気象は人災であり、
地球の悲鳴と思っています。

自分さえ良ければいいという人間のエゴが
どんどん自然を破壊している報いなのです。
そんな危機感を純粋な子供たちが持ち始めているのに、
世界の政治家たちの多くは知ってか知らないか無視したように争っています。
今回の台風ではいくつもの川の堤防が決壊し、
人の命を奪い家の天井まで水につかる事態が発生しました。
こうした事態はいつまたやって来るかも知れません。

千葉県の方たちが前回の被害に較べれば
思ったより少ない被災で乗り越えられたのは、
体験を生かされ避難を早めにされたということだと思います。
各地で起こった被害を現実のものとして対応していくことが、
今後必要になってくることでしょう。
ともあれこれから立ち直ろうとしている方たちを、
少しでも援助して差し上げる対策を国が講じてさしあげて欲しいものです。

*

暗いニュースが続く中で日本ラグビーの奮闘ぶりがファンを熱狂させました。
テレビの視聴率が50パーセントを越えたのは凄いことですね。
私のような80歳近い男でも力が入ってしまうほどの闘魂と試合が終わった後、
対戦相手をお互いに讃えあうスポーツマン・シップに感動いたしました。

感動といえば、もう一つ私を感激させたうれしい出来事がありました。
作・編曲家の甲斐正人さんが突然私の家に来てくれたのです。
甲斐さんのことは何度かこのブログでもご紹介していますが、
最近では梅田藝術劇場の「ON THE TOWN」(宝塚歌劇団)で
指揮をされたにもかかわらず、
聴きに伺えなかった事情を書いたのを覚えています。

今回、甲斐さんは京都の南座に
作曲家としての仕事でいらした合い間に訪ねてくれたのです。
「ON  THE TOWN」公演の記録CDを持参され、聴かせてくれました。
素晴らしい演奏に私は想像以上の感動を覚えました。
バーンスタインの斬新なサウンドを余すところ無く表現し、
宝塚のキャストだけとは思わせない自然さがありました。

私はブロード・ウエイ版も見られませんでしたが、
それに遜色の無い公演だったのではないかと思っています。
私の親しいSさんも大変盛り上がった公演と
報告してくれたのが、納得できました。
CDだけを聴いて絶賛するのもどうかと思いますが、これが私の感想です。
甲斐さんは台風の接近を前に、その日のうちに横浜のお宅に戻られました。

決して派手な活動を好まない甲斐さんが
自身をもって指揮された作品を生で聴けなかったのが残念でした。
早く健康を取り戻しまた彼が指揮をする公演を聴きに行きたいと思っています。
元気になることを祈り、
再会を約束してくれた甲斐さんの言葉のためにも頑張るつもりです。
甲斐さん本当にありがとう!

(音楽・演劇プロデューサー 橘市郎)

先日久し振りに大塚博堂のCDを聴きました。
彼は以前お世話になっていたMさんがマネージャーをしていた歌手ですが、
改めてその才能に感動しました。
彼の生涯は19441981年というわずか38年間の短いものでしたが、
心を揺さぶる歌の数々は忘れることが出来ません。

シンガー&ソングライターが出て来た時代、
彼は東洋音楽大学(現東京音楽大学)中退後にデビューしたものの、
なかなか売れず「ダスティンホフマンになれなかったよ」で
再デビューしたのは32歳の時でした。
それから37歳で脳内出血のため急逝するまでの5年間、
レコード化された曲は約80曲にもなります。
音域の広い、情感のこもった声は
クラシックの歌手には無いナイーヴさを持っていました。

私は彼の歌を聴いていると
一人の青年が懸命に人生を生きている姿が浮かんできます。
私が1940年生まれなので、ほぼ同世代だったことになります。
人生の充実度は長さではないのは当然ですが、
彼が元気でいたらと思うと残念でなりません。

*

香港でのデモ、韓国の政局、トランプさんの疑惑、
北朝鮮のミサイル実験、東京電力の混乱。
どれをとっても暗いニュースばかり。
一方でラグビーにおける日本の快進撃やゴルフ、
陸上、テニス、野球、競馬といったスポーツ界での明るい話題。
国会が始まると言うのに頭の中は混乱しています。
こんな時こそ知らないうちに
あらぬ方向に導かれぬよう注意しないといけませんね。
冷静になりたいものです。

(音楽・演劇プロデューサー 橘市郎)

9月27日から29日の3日間は春秋座で立川志の輔公演が行われ、
私は初日と楽日を拝見してきました。
特に初日は師匠が楽屋入りして
舞台チェックをするさまを見させていただきました。
皆さんはタレントとしての師匠は良くご存知ですが、
演出面での存在は案外知られていないと思います。

しかし、落語が全くの独り舞台だけに
その演出ぶりは他の舞台芸術以上に、ご本人の感性にかかってきます。
師匠は楽屋入りと同時に舞台チェックに入ります。
高座の位置、袖幕や文字の状態。照明のあたり具合や色、そして明るさ。
音響の大きさや聴こえて来る方向感、音質。そして明瞭度。
こう書くと細かいため、時間がかかるような気がしますが
実に手短にチェックしOKを出していくのです。
その手際の良さは、いろんな演出家の稽古を見慣れている私も
感嘆せずにはいられません。

そしてお弟子さんや共演者の音響を聴いて、楽屋に入るのです。
劇場での落語というものがこれほど緻密に演出されているとは
お客様にはお分かりいただけないと思うし、
師匠もこういう事を書かれるのは嫌がるかもしれません。
しかし落語というものが昔のように単に寄席の演芸ではなく、
世界に誇るべき、一人芝居の藝術であることをお伝えしたかったのです。

演技においても師匠の熱演は単なるお笑いを超えた迫真そのものです。
高座を降りてくる健康な落語家が憔悴しきっているのを、
私は今まで見たことがありませんでした。
私は歌舞伎の猿翁と落語の志の輔師匠というお二人と出会えて
本当に幸せだったと思います。
来年も春秋座での「立川志の輔落語」を楽しみに頑張るつもりです。
そして来年はパルコ劇場での公演も再開されます。
健康管理に万全を期してくださいますように祈っています。

(音楽・演劇プロデューサー 橘市郎)

9月21日は天気予報だと雨だったのに1日中曇りでした。
表記のコンサートに味方してくれたのかもしれません。
お客さまの入りがいまいちで出演者の皆さんには申し訳なかったのですが
すばらしい演奏が続き盛り上がりました。

松山郁雄さんの構成と司会ぶりは
オーソドックスなガラコンサートとは異なり、
初めての方にも楽しんでいただけるよう工夫されていたので、
当然、厳しいご意見も出てくるでしょうが、画期的なものでした。
1曲ずつ長い拍手をいただくかわりに、
スピーディーに進行して流れを作っていく演出は斬新で、
賛否両論があると思いますが、
出演の皆さんも新しい試みにしっかり協力していただいていました。

「年末に行われるNHK紅白歌合戦を見ているようで楽しかった」
と言ってくださったお客様の言葉が印象的でした。
それにしても、演奏に入るとハイレベルな歌声の連続で、
よくこんなオペラ歌手が集まってくれたものだと
感謝せずにはいられませんでした。

10年という長い間、これだけの皆様に
出演していただいたと思うと涙が出そうになりました。
私は今後、アドヴァイザーとして協力させていただき、
若い世代の方たちが思う方向に舵を切っていただくつもりです。
どうぞ今後とも春秋座オペラが発展していくよう、ご支援をお願い致します。

改めて松山郁雄さん、指揮の奥村哲也さん、
出演者の皆様、スタッフの皆様、それにお客様にお礼申し上げます。
ありがとうございました。 

*

話は変わりますが、大相撲が22日に千秋楽を向かえ、
関脇・御嶽海が優勝しました。
横綱不在で寂しい場所でしたが
誰が優勝するか予想もつかない混沌とした状況は結構楽しめました。
小兵力士炎鵬の活躍や明生、朝乃山といった
将来を期待される力士が場所を盛り上げてくれました。
もちろん最後まで優勝を争った貴景勝の復活や阿炎、
遠藤の存在も忘れられません。
横綱が安定しているのはいいことですが、
混沌としている世界も楽しめますね。

それにして場所が終わってすぐ巡業が始まったり、
年6もの場所は力士にとってハード過ぎます。
有望力士を潰さないためにも、
もう少し考えてあげないといけないのではないでしょうか。

(音楽・演劇プロデューサー 橘市郎)


今週921(土)はいよいよガラコンサートの本番です。
出演するメンバーは、恐らく今後はありえないほど豪華です。
オペラ好きの人にとっては見逃せないコンサートだと自負しています。
オーケストラの稽古が17日から始まり、徐々に関係者が増えてまいります。
そして20日にゲネプロがあり21日に本番を迎えるわけです。

もちろんお客様には本番を楽しんでいただく訳ですが、
われわれ作り手にとってはこの課程が生きがいと言ってもいいくらい重要です。
作品がだんだんと仕上がっていくことが喜びなのです。
そして本番当日、万雷の拍手をいただいた時「良かった!」と満足する。
そんなことの繰り返しが、これまで何度経験されたことでしょう。
どうか今年もお客様には心の底から楽しんでいただけたら幸いです。

*

台風の影響で千葉県の方たちの中には、
未だに電気がつかない生活が続いています。
自然災害と言っても、仕方が無いでは済まされない事態です。
戦艦や戦闘機にお金をかけることよりも、
こういうことに対する備えの方が大切だと思うのですが。
人間が人間を敵と見なし、
お互いに警戒を強めるなんて哀しいですね。
ローマ法王のように人間を信じ、
お互いを尊敬する時代がやってくることを願っています。

「歴史は繰返す」と言って、
いつまでも人間同士が争っている時代は、もう終わって惜しいものです。
「衣食足りて礼節を知る」が真実であるならば、
お互いに礼節を知るべく、貧富の差をなくする努力をするべきなのでしょう。
「自分だけが豊かになりたい」ではいつまでも争いが耐えません。
お互いに分かち合うという精神が大切なのではないでしょうか。
年金老人になってからそんなことを言っても遅いかな。

(音楽・演劇プロデューサー 橘市郎)



 

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