一瞬の静寂

音楽・演劇プロデューサー・橘市郎のブログ。日々思ったことを綴っています。 東宝(株)と契約し、1973年にプロデユーサーに。1981年独立後は、企画制作会社アンクルの代表をつとめ、中野サンプラザからの委嘱で「ロック・ミュージカルハムレット」「原宿物語」「イダマンテ」を、会社解散後は「ファンタステイックス」「ブルーストッキング レデイース」などのミュージカルを制作。 2001年京都芸術劇場の初代企画運営室長。

23日、24日と春秋座で行われる歌劇「魔笛」のチケットが
昨年の「カルメン」をしのぐ勢いで売れています。
春秋座オペラが年目を迎えて
やっと知られてきたということもあるでしょうし、
モーツァルトが最後に作曲した名作オペラということもあるでしょう。
いずれにしてもこんなうれしいことはありません。
関係スタッフやキャストの献身的な協力、大学の理解、
そして何度も訪れてくださったお客様のお陰と感謝しております。

私にとっても「魔笛」は大変思い入れのある作品です。
中学年生の時、タリアビーニという
テノール歌手のリサイタルを聴いて以来、
すっかりオペラの魅力に取り付かれた私は
高校1年の時、オペラ部を立ち上げました。
小谷野喬さんという当時東大生で、
やはりオペラ好きの先輩の後押しや
音楽の新島弘先生のご理解のお陰です。

所属していたバレー部の部員や
中学時代一緒に活動していた音楽部の仲間を強引に引っ張り込み
「フィガロの結婚」を音楽教室で試演しました。
すると、読売新聞がシリーズで掲載していた
「学園は花ざかり」に大きく取り上げてくれたのです。
勢いに乗って年生の時には、講堂の役目をしていた育鳳館で
オーケストラ部の協力を得てオペラを上演しました。
その時の作品が「魔笛」でした。
もちろん、学園祭の中での公演ですから、
お金が無く衣装はそれぞれ工夫して自前、
セットはバレー部員が協力して作ってくれました。

でも、藤田宙靖さん(後の最高裁判所判事)の演じた
パパゲーノなどは絶品で会場を沸かせました。
ちなみに私は恐れ多くも王子タミーノをやらせていただきましたが、
若気の至りとしか言いようがありません。
でも「趣味が高じて何とやら」と現在に至るのですから不思議ですね。
今回、当時オペラを一緒にやっていた人たちに、ご案内したところ、
何と現在でも5人の方が東京や仙台から駆けつけてくれます。
口伝えでまだ増えるかもしれません。
友達って本当にありがたいものです。
考えてみると猿翁とのご縁をいただいたのも、
モーツァルトの「イドメネオ」でした。
私はモーツァルトにも感謝しなければいけませんね。

(達人の館 代表 橘市郎)

都議会議員選挙の結果、自民党が惨敗しました。
直前になっていろいろと自民党国会議員の
不祥事が重なったこともあり、当然の結果と思います。
でも、この結果をもたらしたのは主に高齢者層と女性層であり、
中間年齢層特に男性層では相変わらず自民党への支持率が高いようです。

現在、自分が置かれている立場を考えながら
物事を判断しなければならないということでしょうか?
人は一人では生きていけないことは確かです。
でも、いろいろなしがらみから素朴な正義感を守れなくなるのは悲しいですね。
「身内には甘く、他人には厳しい」では、良い政治が出来ません。
どの党が政権を担おうとも、人格の優れた公明正大な方に
首相を務めていただきたいと願っています。

危険いっぱいな世界情勢を見るにつけ、
本当に人類の平和のために尽くしてくれるような
偉人の出現を願わないではいられません。
翻って自分自身はどうすればよいかと考えた時、
「清く、正しく、美しく」と教えてくれた
恩師、小松周一先生の事を思い出しました。

先生は小学校の年間を通して担任をしてくれました。
校長を経て、退任後は幼稚園の園長さんを勤めたりしましたが
お子さんに恵まれず、奥様に先立たれてからは不遇で、孤独死をされました。
でも、教え子たちは77歳になった今でも
先生の人柄を慕って年に度集まっています。
温厚ながら、間違ったことに対しては厳しかった小松先生のような人格者こそ、
教育者に相応しい方だと思っています。
先生の教えを今一度思い起こしたいと思います。
「初心に帰れ」ということでしょうね。

(達人の館 代表 橘市郎)

6月25日、ヴェルディ・サロン・ライヴに出演した
ソプラノ講殿由紀奈さんとピアノ坂口航大さんのジョイントは
レベルの高いものでした。
特に講殿さんは1月に出演されてから半年振りの登場でしたが、
声に深みが出て声量も豊かになっていました。
若い人の
進境ぶりは想像以上でびっくりさせられます。
坂口さんは指揮者としても活躍しているので、
講殿さんの表現に関しては良きアドヴァイスをしているに違いありません。
今後もお互いに切磋琢磨していい演奏を聴かせて欲しいと思います。

この日は競馬の宝塚記念に、私が1口馬主となっている
クラリティーシチーという馬が出走したのですが、
稽古のためライヴでレースを見ることが出来ませんでした。
23時から放映されるダイジェストを見るため、急いで自宅に直行。
ドキドキしながらテレビをつけました。
24時近くになって放映されたのですが少しも眠くないのが不思議でした。
スタートするやわがクラリティーシチーは内をついて好位を追走。
4コーナーを回るや4番手から2番手に上がって行くではありませんか。
何しろ最低人気の馬でしたから興奮しましたね。
一瞬先頭に立ったようにも見え、思わず声を出して応援していました。
でも4コーナーを過ぎると力尽きてずるずると後退。
ゴールに入った時にはブービーでした。
11
頭中の10着は残念でしたが充分に見せ場を作ってくれました。
騎乗した松山騎手の若者らしい積極さも好感が持てました。
人馬共に対し、胸躍らせてくれ御礼をいいたいと思います。

27日は待望の桂離宮見学に行ってきました。
以前は見学する権利を取得するのが難しい上に、
遠方という先入観があって敬遠していたのですが、
手続きは簡単になったし、バス本で行けることもあり、
暑さを押して出かけました。
さすがに素晴らしいところでした。
これほど完璧に美しさを追求している庭園とは思いませんでした。
名庭と言われるところはほとんど行っていますが、
やはり、この計算されつくされたバランスには
「参った!」という感じがしました。
作られた当初は、庶民には縁遠いものであったものが
こうして見られることは幸せです。

お城にしても、お寺にしても歴史的建造物がこんなに間近に見られる京都は、
やはり贅沢なところだと思います。

(達人の館 代表 橘市郎) 

6月18日のヴェルディ・サロン・ライブは
「アンサンブル24」という9人編成の男声コーラスが登場、
70
歳前後の熟年パワーを爆発させてくれました。
アンサンブル24は同志社大学のグリークラブの同期生が
結成したグループで、結成当初は12人いたために、
「二十四の瞳」にかけて付けられた名前だそうです。

亡くなられた方もいて今は「十八の瞳」なのですが、
結成当時の名前で活動されているんですね。
昨年12月にローム・シアター・サウス・ホールで行われた
「江藤ゆう子 昭和を歌う」にゲスト出演していただいたご縁で
ヴェルディ・サロン・ライブにも出演していただきましたが、
当時よりパワーアップした感じでした。
ピアニストも入れると10名。
1人が5人のお客様を連れてくれば50人という計算になるとはいうものの
60名というお客様で会場は満杯となりました。

部はイギリスのマドリガル、黒人霊歌、ロシア民謡、日
本民謡をソロを交え、身振りと手振りで奔放に表現。
堅苦しさは一切なく笑いさえも醸しだしていました。
MCも冗談を言いながらゆとりたっぷりのものでした。
部はダーク・ダックスやデューク・エイセスのヒット曲と
ザ・ピーナッツのヒットメドレーをご愛嬌たっぷりに聴かせてくれました。
最後にお客様と童謡やフォークソングを合唱。
アンコールの時はすっかり会場がひとつになっていました。
往年のコーラスグループが次々と解散していく寂しさを
補ってくれるような楽しいライヴでした。
さすが人生の荒波を乗り越えてきた熟年パワーは違いますね。

今度の25日(日)はソプラノの講殿由紀奈さんと
ピアノの坂口航大さんのジョイント・ライブです。
お二人とも2度目の出演ですが、前回好評だっただけに楽しみです。
今週も盛り上がりましょう!

別件ですが、同じ25日に阪神競馬場で宝塚記念が開催されます。
北島三郎さんの持ち馬キタサンブラックが断然人気ですが、
このレースに私の持ち馬クラリティシチーが参戦します。
持ち馬といっても共同馬主なので500分の1の権利しかありません。
しかも、一番実績がない最低人気の馬です。
オリンピックではありませんが参加することに意義があるという感じです。
でも競馬に絶対はありません。
単勝と複勝を少しずつ買って応援するつもりです。
サロン・ライヴの稽古のため生観戦が出来ないので、
帰宅後のVTRを楽しみに見ることにします。
力いっぱい無事に走っておいで!

(達人の館  代表 橘市郎)

嵐のような引越しをし、川越塔子さんのリサイタルを終えたと思ったら、
もう4ヶ月が過ぎていました。
年々年を取るにつれ、日々の流れが速くなるといいますが
全くその通りだと思います。
もう1年の3分の1が過ぎたと思うと唖然としてしまいます。

久しぶりにゆっくり新聞に目を通してみると、
安倍1強といわれる政治の世界では、野党がいくら抵抗しても、
与党の思惑通りに物事が決まっていくように思われます。
「共謀罪」の件にしても「加計学園」の件にしても、
結局は強行採決で決められたり、うやむやにされてしまうのでしょうか。
反対意見が全く無視される恐ろしさ、
ひとつの方向に向かって転げ落ちてゆく危険。
そういったものを過去の経験から感じ取っている私のような高齢者が、
伝えないといけないと思いつつ、無力感に襲われる毎日です。

一方で、将棋の藤井四段や卓球の10代選手の活躍を見ていると、
日本の明るい未来が見えて来るような気がしてきます。
彼ら彼女たちの共通点は、自分が持っている才能を自ら感じ取り、
目標に向かって貪欲に努力していることでしょう。

政治や経済は人にとって、重要なファクターには違いありませんが、
文化やスポーツの世界に見られる夢と希望の存在は生きる力を与えてくれます。
私が関わっている仕事もそういう風に貢献出来たらいいなあと思います。
結局自分に出来ることを精一杯やれということなんでしょうね。

(達人の館 代表 橘市郎)

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