川越さんとのご縁は、2009年に始まりました。
京都の春秋座で、オペラ「夕鶴」を上演したいと思い、
日本オペラ振興会に相談したところ、
ヒロインのつうに川越さんの名前が入っていました。
東京を離れていたこともあり、この時私は
川越さんのお名前を存じ上げていませんでした。
一度歌声を聴いてみたいと思っていたところ
ちょうど東京の王子ホールで、初のリサイタルがあるとのこと。
これはいい機会と上京した私は
期待半分、不安半分で第一声を聴きました。
1曲目は「セヴィリアの理髪師」の
「今の歌声」だったのですが、衝撃的でした。
まず天性の美声に引付けられ、
響きを大切にした声のコントロールにうっとりしました。
一般審査委員から支持を受け、
コンテストで優勝したということを聞いていたので、
声量は抜群で華やかだが、多少荒っぽい歌い方をする人ではないかと
勝手に想像していた私は完全に打ちのめされました。
完璧な音程と細やかな表現、20歳を過ぎてから
本格的なレッスンを受けた人とは思えない完成度でした。
「初めてのリサイタルということで、背中は汗でびっしょりです」と
自然体で素直にしゃべるトークも好感が持てました。
プログラムが進むにつれて、
川越さんが如何に歌の内容を理解して歌っているかが伝わってきました。
自慢の声をこれ見よがしに聴かせるのではなく、
オペラのアリアであれば、
主人公がどのような女性かを思い描き歌っているのです。
「そんなこと当たり前じゃないか」と言われるかもしれませんが、
オペラ歌手には往々にして、
如何に素晴らしい声を聴かせるかに夢中な人もいるのです。
その点では、演歌歌手に見習うべきかも知れません。
川越さんの歌 には日本人特有の繊細さが見られました。
その上、オペラ歌手に必要なスケールと華やかさは
ちゃんと持ち合わせていたのです。
プロデューサーという仕事をしていて、一番楽しいのは
「こんな素晴らしい人に出会ったよ」とその人の資質を人に伝え、
さらに飛躍してもらう機会を提供することです。
川越さんは予想したとおり、「夕鶴」のつうを手始めに、
「ラ・ボエーム」のミミ、「蝶々夫人」の蝶々さん、
「椿姫」のヴィオレッタと順調にレパートリーを広げてきました。
一方では「天守物語」「高野聖」「袈裟と盛遠」といった
日本もののオペラでも成果を挙げています。
彼女が演じたヒロインたちは
それぞれ川越さんがイメージして作り上げたもので、
どの女性も鮮明な存在感を残しています。
今回の、オペラ・アリアだけで構成されたプログラムの中で、
それぞれのヒロインがどんな生き方をしたか
川越さんは明確に表現してくれるはずです。
わずか4~5分のアリアから女性像を作り上げる川越さんの力量は
並大抵なものではありません。
当日は13時より、小ホール入り口で当日売りをいたします。
前売りチケットをお持ちでない方もぜひお出かけください。
お待ちしています。
京都の春秋座で、オペラ「夕鶴」を上演したいと思い、
日本オペラ振興会に相談したところ、
ヒロインのつうに川越さんの名前が入っていました。
東京を離れていたこともあり、この時私は
川越さんのお名前を存じ上げていませんでした。
一度歌声を聴いてみたいと思っていたところ
ちょうど東京の王子ホールで、初のリサイタルがあるとのこと。
これはいい機会と上京した私は
期待半分、不安半分で第一声を聴きました。
1曲目は「セヴィリアの理髪師」の
「今の歌声」だったのですが、衝撃的でした。
まず天性の美声に引付けられ、
響きを大切にした声のコントロールにうっとりしました。
一般審査委員から支持を受け、
コンテストで優勝したということを聞いていたので、
声量は抜群で華やかだが、多少荒っぽい歌い方をする人ではないかと
勝手に想像していた私は完全に打ちのめされました。
完璧な音程と細やかな表現、20歳を過ぎてから
本格的なレッスンを受けた人とは思えない完成度でした。
「初めてのリサイタルということで、背中は汗でびっしょりです」と
自然体で素直にしゃべるトークも好感が持てました。
プログラムが進むにつれて、
川越さんが如何に歌の内容を理解して歌っているかが伝わってきました。
自慢の声をこれ見よがしに聴かせるのではなく、
オペラのアリアであれば、
主人公がどのような女性かを思い描き歌っているのです。
「そんなこと当たり前じゃないか」と言われるかもしれませんが、
オペラ歌手には往々にして、
如何に素晴らしい声を聴かせるかに夢中な人もいるのです。
その点では、演歌歌手に見習うべきかも知れません。
川越さんの歌 には日本人特有の繊細さが見られました。
その上、オペラ歌手に必要なスケールと華やかさは
ちゃんと持ち合わせていたのです。
プロデューサーという仕事をしていて、一番楽しいのは
「こんな素晴らしい人に出会ったよ」とその人の資質を人に伝え、
さらに飛躍してもらう機会を提供することです。
川越さんは予想したとおり、「夕鶴」のつうを手始めに、
「ラ・ボエーム」のミミ、「蝶々夫人」の蝶々さん、
「椿姫」のヴィオレッタと順調にレパートリーを広げてきました。
一方では「天守物語」「高野聖」「袈裟と盛遠」といった
日本もののオペラでも成果を挙げています。
彼女が演じたヒロインたちは
それぞれ川越さんがイメージして作り上げたもので、
どの女性も鮮明な存在感を残しています。
今回の、オペラ・アリアだけで構成されたプログラムの中で、
それぞれのヒロインがどんな生き方をしたか
川越さんは明確に表現してくれるはずです。
わずか4~5分のアリアから女性像を作り上げる川越さんの力量は
並大抵なものではありません。
当日は13時より、小ホール入り口で当日売りをいたします。
前売りチケットをお持ちでない方もぜひお出かけください。
お待ちしています。
(春秋座 顧問プロデューサー・達人の館 代表橘市郎)