1010日、春秋座で開催される
アルゼンチンタンゴ・コンサートに、
歌手として出演される、なかにし陽子さんが
取材のため京都に来てくださいました。

当日の87日は何と37度の猛暑日、
タクシーの順番を待っている間だけで

汗びっしょりという悪コンディションでした。

それでも、嫌な顔ひとつしない気さくな方でした。


最初の京都民報の取材で、
私も初めて
なかにしさんが
歌手になるまでの経緯を知りました。
小さい時からピアノをいじり、
アドリブで演奏するのが好きだったそうです。
でも、音楽学校へ進学するようなこともなく、
大学も名古屋の一般大学を卒業。

家庭の事情でヤマハの講師をしたり、
レストランでピアノを弾いて生活の糧を得ていました。
そのうちに歌も歌ってというリクエストで
弾き語りをはじめるとこれが何と大受け。
あちこちから声がかかり大忙しの毎日となります。


たまたま東京から来たお客さまの中に、

音楽評論や作詞をされる方がいて、

なかにしさんにタンゴを歌うことを薦めます。
タンゴについて全くといっていいほど知識がないまま
東京に出てプロの歌手になったものの、
最初はシャンソン、カンツォーネ、
ミュージカルナンバーなども歌っていました。


本格的にタンゴ歌手の道を歩み始めたのは、30歳過ぎてから。
単身でアルゼンチンに行き、
いろいろ怖い思いや、
耐乏生活をしながら本場のタンゴに触れ、
また現地の一流ミュージシャンとの交流も深めて行きます。


とにかく、冒険心と好奇心があり、
実行力のある
なかにしさんの体験談を聞いているうちに、
私は指揮者の小澤征爾さんを思い出しました。
もともと才能のある人が才能を開花させる道程に

共通のものを感じたのです。
京都新聞社の取材でも、
笑いが絶えないトーク番組を見ているようでした。
今回は、テレビやラジオの取材が組めなかったので、
9月にもう一度来ていただいて、

トークと歌声を皆様に聴いていただきたいと思っています。

翌日、なかにしさんのCDを聴かせてもらいましたが、

澄んだ声、美しい日本語、
そして天性のリズム感と正確な音程に魅了されました。

達人の館を始めてから、

次々と個性ある達人に出会えて、私は幸せです。
この感動をぜひ皆様に伝えて行きたいと
思いを新たにいたしました。

1010日、ぜひ春秋座にお越しいただき、
なかにしさんの素晴らしい歌声をお聴きください。

きっと感動されると思います。


(達人の館 代表 橘市郎)