今月の12日(土)、13日(日)に春秋座で
歌劇「セヴィリアの理髪師」が上演されます。
初日のロジーナ役はソプラノの川越塔子さん、
2日目のロジーナ役はメゾ・ソプラノの郷家暁子さんです。
2
日間でソプラノ・バージョンと
メゾ・ソプラノ・バージョンが聴けるなんてことはあまりないので、
オペラ・ファンはぜひ聴き較べていただければと思います。

川越塔子さんは「夕鶴」「ラ・ボエーム」
「蝶々夫人」「椿姫」に続いて5回目の登場となります。
説得力ある演技と美声で、春秋座オペラには欠かせない方になりました。
川越さんについては、いろいろと書かせていただいているので
今日は郷家暁子さんについて書かせていただきます。

郷家さんは今年4月に行われたオーディションでロジーナ役を射止めました。
私はオブザーバーとして聴かせていただいたのですが、
際立って華やかで、歌も演技もしっかりしている人が登場したので、
相当キャリアのある方かなとお見受けしたのです。
しかし、関西ではほとんど知られていない方と聞いてびっくりしました。
私は「結果はお任せしますけど、あの郷家さんという人は素晴らしいですね」
と言って帰りました。
審査員の方たちも満場一致で彼女に決めたようです。

10日ほど経って、狂言師の茂山千三郎さんから、突然電話が入りました。
千三郎さんとは何度か仕事でご一緒していました。
「ご無沙汰しています。
この度は、家内がお世話になりますがどうぞよろしく」。
私は最初何のことか分かりませんでした。
「春秋座のオペラで、ロジーナをやらせていただきます
郷家暁子は私の家内でして」。
私は何も知りませんでした。
公演監督も「ご主人は同業者だそうです」と言っていたからです。
「そうだったんですか。そうと知っていたら、採用しなかったのに」
などと冗談を言いながら、ご縁を喜びました。

千三郎さんは先月、プロデューサーとして「三ノ会」を旗揚げしましたが、
当日は狂言師の女将さん役を立派に努めていた暁子さん。
オペラではご主人譲りのコミカルな役を披露してくれることでしょう。
世の中は狭いものですね。


(春秋座 顧問プロデューサー・達人の館 代表橘市郎)


郷家さんも参加された記者会見様子が
WEBでご覧になれます。

ぜひ、合わせて、お読みください。
歌劇「セヴィリアの理髪師」全2幕