9月24日、春秋座で
「2代目市川猿翁のアーカイブ・フォーラム」が開催されました。
春秋座開場15周年を記念しての企画でしたが、
私もご招待され初めて9列目の中央で観客として催し物を拝見しました。
自分が直接携わっている時は、
いつも鳥屋の下手側(チケットを販売していない席)で公演を見ていたので、
舞台がとても近く感じられ、何故か落ち着きませんでした。
舞台上の役者さんと目が会うと思わず
「お早うございます!」と言ってしまいそうなのです。

司会の市川笑三郎さんの挨拶の後、
部は市川右近さんと造形芸大の徳山理事長の対談でした。
劇場が建つ前に行われていた歌舞伎の集中授業のお話、
そして初代理事長と猿翁の、劇場を立てるまでのやりとりなど
興味深く聞かせていただきました。
それにしても、こんな劇場が良くも出来たものですね。
開場の年前から開設準備室長として関わらせていただき、
開場後、3年間企画運営室長を勤めていた自分のことなど
すっかり忘れて、客観的に話を聞いていました。
初代の詳直理事長と猿翁の出会いが、
奇跡を生んだとしか思えない快挙だと思います。

第2部は脚本家として、
演出家として三代目猿之助(猿翁)を支えてきた石川耕士さんの
「三代目市川猿之助の仕事」というお話でした。
23歳にして3代目を継いで、
異端児とかサーカスとか揶揄されながら、
分かりやすくて、面白い歌舞伎を復活させ、
ついにはスーパー歌舞伎を生み出した功績の数々が紹介されました。
現在歌舞伎が元気なのは、
全く猿翁のお陰と思わせるような説得力ある講演でした。
命を縮めそうなハードスケジュールを黙々とこなし、
松竹を生き返らせたといってもいい奮闘振りが良く分かりました。

そして、最後に登場したのが4代目市川猿之助さん。
春秋座の芸術監督でもある猿之助さんは、
すっかりフランチャイズでの舞台といった感じで、
ジーパン姿で登場するやエスプリの効いた話を展開し、
大いに会場を沸かせました。
「3代目と私は冒険家というところは似ていますが、
方やまじめで芝居一筋、お酒も飲みませんし、集団稽古大好き。
一方の私はいろいろ趣味もありますし、酒も飲みます。
決定的な違いは集団稽古が嫌いということ。
これは役者に喜ばれています」などと会場を笑わせていました。
それにしても、アニメ人気に注目したり、
コンピューターの便利さを使いこなして
『ワンピース』のような作品を上演、
若い歌舞伎ファンを増やしている猿之助さんの功績は大きいですね。

最後に抽選会があり、猿翁の3巻一組の豪華写真集が3名の方に当たりました。
余りにも重いため当選者は舞台を降りるのに苦労していたほどです。
猿翁が大学に寄贈した膨大な資料をいい状態に保つには
お金がかかるということで、募金も猿之助さん特有の呼びかけで行われました。

私も気持ちだけでもと募金箱にお札を入れようとしたところ
募金箱からお札が溢れ、入れるのに苦労しました。
無料(抽選)で聞けたこのフォーラムに対する
感謝の気持ちが反映されていたように思います。
関係者の方々,出演された皆様、お疲れ様でした。

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(達人の館 代表   橘市郎)