17日、18日、春秋座オペラ「カルメン」が無事終了いたしました。
両日ともほぼ満員の状態で7回目の公演で
1100人を動員することが出来ました。
お陰さまで、出来に関しても概ねのお客様に
ご好評をいただいております。

今回は演出の三浦安浩さんと舞台美術の柴田隆弘さんが
歌舞伎小屋の機構をどう生かそうかと、
大分前から打ち合わせをしていただいた成果が目立ちました。
立体的な舞台装置が回り舞台によって変化していく演出は
稲葉直人さんの照明の力もあって、
春秋座だからこそ可能な迫力あるものでした。

指揮の牧村邦彦さんが9人のオーケストラを特訓してくださり、
エレクトーンとのコラボを見事にまとめてくれたのも大きな成果でした。
まるでフルオーケストラのようなサウンドは
指揮者の技量のお陰と言っても過言ではありません。

出演者も、初日のカルメンを歌ってくれた
藤井泰子さんは、小柄ながら、女優経験を生かした説得力ある歌と
演技で観客の涙を誘ってくれました。
日目の並河寿美さんは、これぞオペラのカルメンという
ひとつの型を見せ付けてくれました。

ドン・ホセの谷口耕平さんはこれが本格的なデビューでしたが、
将来性を感じさせる声で、ひた向きな演技が光りました。
これに対し日目の角田和弘さんは、さすがベテランという感じで、
「花の歌」や終幕の重唱を聴かせてくれました。
カルメンを刺した直後の絶叫は今でも耳に残っています。

エスカミーリョの折江忠道さんほ圧倒的な声量と存在感で
オペラのクオリテイーを高めてくれました。
一方の鶴川勝也さんは、粋でスマートなイメージどおりの闘牛士。

ミカエラの和田しほりさんは声の質が純な役にぴったりで
カルメンとの対比が鮮明。
柴田紗貴子さんは声量豊かなミカエラで
角田さんのドン・ホセとのバランスが絶妙でした。

ほかの役の方もレベルが高く、
誰一人として弱いキャストがいなかったことも、
作品全体を支えてくれたと思います。
コーラスにいたってはこの人数で良くぞ盛り上げてくれたと感激しました。
ひまわり児童合唱団と合わせて果たしてくれた
群衆シーンの迫力は忘れられません。

ともすれば事故も起こりかねない舞台を
安全に進行させてくれた
舞台監督の青木一雄さんをはじめとする演出部の皆さん。
ぎりぎりの予算で効果を上げてくれた衣装の坂井田操さん。
お父さんを支えてくれた演出助手の三浦奈綾さん。
井出亮さん以下制作を担当してくれた舞台芸術研究センターの若手スタッフ。
ミラマーレ・オペラの優秀な女性スタッフ。
大勢の人たちの団結力がこのオペラを成功に導いてくれました。
そして、これらを総合的にまとめ、
引っ張ってきてくれた公演監督の松山郁雄さん、
ありがとうございました。
でも、何よりも春秋座オペラを支えてくれているのは
高額な入場料を払って、劇場に足を運んでくださったお客様です。
来年も春秋座では月に
モーツァルトの歌劇「魔笛」を上演することが決まりました。
ぜひとも来年もご来場くださいますようお願い申し上げます。

公演プロデューサーとして、改めて皆様のご協力に感謝いたします。
ありがとうございました。

(春秋座 顧問プロデューサー/達人の館 代表 橘市郎)