6月4日、青山音楽記念館で行われた
「ソプラノ 川越塔子リサイタル」が無事終わりました。
たった1日1回の公演ながら半年間かけていただけに、
ほっとしたやら、寂しいやらいつもどおりの複雑な気持ちです。
客席は結局60パーセントの入りでしたが
厳選されたお客様といった感じで、とてもいい雰囲気でした。

フランス・オペラから始まったのですが、
川越さんも細川さんも白い衣装で登場。
お二人とも美形なのでサロン風な華やかな幕開きでした。
川越さんの澄んだ声が響き渡り、会場全体が共鳴箱のようです。
大きなホールでは味わえない舞台と客席が
一体となった感じかとても新鮮でした。

1部では、お客様を飽きさせないように、
プラカードや風船を使ってのコミカルな演出が笑いを誘いました。
川越さん自身が考えたことですが、
ただ好きな歌を歌えばいいというのではなく、
お客様を楽しませようという心遣いが伺えました。
2部は一変して着物姿で登場。
「夕鶴」のおつうが与ひょうを思う心を切々と歌い、
「蝶々夫人」のアリア「ある晴れた日に」繋げていきます。
確かにこの曲は心情的に共通するものがあり、
川越さんの感性には脱帽です。
そして、蝶々さんが自害する直前に歌う「可愛い坊や」。
迫真の表情で歌う川越さんと蝶々さんの姿がだぶり
思わず涙がこぼれました。
夜、初めてオペラのアリアを聴いたという女性から
メールをもらいましたが、その方も涙が溢れたそうです。

この日は青山財団の田中理事長はじめ、
耳の肥えた方が大勢お見えになっていましたが、
みなさんからお褒めの言葉をいただきました。
単に外交辞令で言っていただいているのか、
心から言っていただいているのかは職業柄解ります。
満員には出来ませんでしたが、
本物の達人を紹介出来て良かったと思います。

桂川を越えて来て下さった京都のお客様。
東京、大阪、宮崎からはるばるお越しくださったお客様。
そして会館のスタッフの方々、ありがとうございました。
川越塔子さん、細川智美さん、本当にお疲れ様でした。
お二人とはまたご一緒したいと思います。
お二人にとって京都が第の故郷になることを心から願っています。

(達人の館 代表 橘市郎)