毎日、往年のオペラ歌手を聴きまくっているので、
9月8日の夜にCD「小田和正・自己ベスト」を久し振りに聴いてみました。
もう随分前に収録されたものですが、
全く新鮮で聴き応えあるものでした。

もともと澄んだ美声で、テノールのポピュラー歌手と思っていましたが、
それ以上に作曲家としても詩人としても
非常に優れた才能を持っていることを再認識しました。
彼の旋律に乗せられた日本語は、実にアクセントが正確です。
それ故に歌詞が大変分かりやすく、
詩の内容が素直に伝わってきます。
思わず過去の風景が思い出となって蘇って来るのです。
フォークソングのような素朴さを持ち、
洗練された歌謡曲のような世界をも感じさせるんですね。
それに音楽的には非常に洗練された新しさがあるので、高尚な感じがする。
何を言っているのか分からない曲や
どこの国の人が歌っているのか分からない曲とは明らかに違うのです。

私は小田和正というミュジシャンを高く評価したいと思います。
そしてクラシックでも、ポピュラーでも
優れたものは同じように評価されねばならないと改めて思います。
小田さんとは全くご縁がありませんが、
この人と仕事をご一緒する機会が無かったことは
かえって幸せだったかもしれません。
いつまでも一ファンとしていられるからです。

(音楽・演劇プロデューサー    橘市郎)