112日は春秋座のプロデューサー・舘野佳嗣さんから
表記のミュージカルにご招待いただきました。
この原作はかつて市村正親さん主演の一人ミュージカルとして
春秋座で公演されているので懐かしさもあり喜んで出かけました。

ところが今回の作品はシチュエーションこそ同じでしたが
演出も、音楽も全く新しいもので別の作品だったのです。
特に違っていたのは音楽で、
全編、中村匡宏さんのピアノを生かしたオリジナルでした。

中村さんは鍵盤男子としてもピアノを弾き、語り手までやっていました。
もうおひとりの鍵盤男子・大井健さんも台詞をこなしていたし、
ミュージシャンがここまで多才かと感心してしまいました。
もちろん主役の元宝塚北翔海莉さんも熱演で
この3人のアンサンブルは見事というほかありませんでした。

筋立てがしっかりしていたので主人公が
最後に住み慣れた船とともに運命を共にするくだりも説得力がありました。
市村さんが主役を演じていた「海の上のピアニスト」のストーリーが
曖昧に記憶されていたのに対し、今回はっきりとしたのが収穫でした。
それにしても才能のある若いミュージシャンが
これからどんどんでてくるのは頼もしいですね。

舘野さんは宝塚とのコネクションを持っている貴重な方、
春秋座でこそ可能な元宝ジェンヌのパフォーマンスを
これからも実現していって欲しいものです。
休憩無しで約1時間半という上演時間も良かったと思います。
上演台本・演出の星田良子さんの功績も
大きかったことはいうまでもありません。

(音楽・演劇プロデューサー  橘市郎)