少し前になりますが大阪のいずみホールで「日欧艶男合戦記」という
光源氏とドン・ジョヴァンニを対比したパフォーマンスを見に行きました。
桂春團治さんの語りとオペラの抜粋をアレンジしたものですが、
部で親しい作曲家尾上和彦さんの作品が披露されることから
尾上さんからご招待されたのでした。
部は、かなりお笑いの要素が見られましたが、
オペラ「月の影」を扱った第部はほとんどシリアスに扱われ
オペラ・ハイライトといった感じでした。

指揮の阪哲朗さんも演奏のアンサンブルもさすがでしたし、
部出演の歌手たちもしっかりした歌唱を聴かせてくれました。
衣装にしても本格的で本公演に劣らない豪華さだったと思います。
尾上さんのオペラは日本物といえど
ベルカント・オペラ並の声が要求されるので、
アリアともなると歌手の力量が極めて出来を左右してくるのです。
そういう意味でもレベルの高い公演でした。

ここでは字幕が使われていましたが、
和歌を引用したアリアなども内容が伝わり有効でした。
改めてアリアの中には耳に残るメロディーも多く、
これからも繰り返し上演していくことによって
「夕鶴」以上に親しまれる日本物オペラとなる可能性を感じました。

尾上和彦さんは私と同じく細身。
しかも大病と戦いながら不屈の精神で作品を創り続けています。
尾上さんの活動が若い世代の人々に
うまく引き継がれていくことを切に願っています。
今度またゆっくりお目にかかりたいと思います。

(音楽・演劇プロデューサー 橘市郎)