1215日は、春秋座で行われた「鼓童」のコンサートに行って来ました。
坂東玉三郎さんが芸術監督をされていた時、
春秋座で公演していただいたご縁もありましたが
今回、演出された船橋裕一郎さんは京都造形芸術大学の卒業であり、
奥様はこのブログを管理してくれている佐藤和佳子さんなので
行かずにはいいられません。
その上プロデューサーの西村信之氏にも会いたいしで、
珍しく私は興奮していたようです。


開場と同時に客席に入った私は、余りにも用意してくれた席が
聴きやすいところなので落ち着きませんでした。
職業柄いつもは後方、鳥屋口脇で見ることに慣れていたからです。
私は皆さんの優しい心使いに感謝しないではいられず、涙ぐんだ程です。

5分遅れで開演しましたが、私は最初の1打を聴いた時、
これは単に打楽器の音とは違うと感じました。
船橋さんが先輩達から引き継いできた
発打ち」の精神が伝わって来たのです。
魂が込められたこの1打こそ、「鼓童」の音だと思いました。
打楽器は叩けば誰が叩いても音は出ます。
しかしその1打にはいろいろある。
そう思って次なる音を聴くにつけ、これは別格と思いはじめました。

アンサンブルとなって、この違いが顕著に現れてきました。
20代から70代、男性も、女性もいるメンバーが
一糸乱れずの演奏を聴かせてくれる。
それは生活を共にする人たちの協調でもありました。
何年か前、私が初めて「鼓童」の演奏を聴いた時には
これほどの感動をしなかったように思います。
静と動、強弱、速い遅いを巧みに配分した構成の上手さが
効果を上げたのでしょう。

船橋さん、あなたの構成は素晴らしかったと思います。
そしてメンバーの一人ひとりが一体となって、
一つの方向に向かっていくワンチームの強さが伝わってきました。
まるであのラグビーの日本チームが見せてくれた感動を
再度、味合わせてくれたようでした。

太鼓は誰が叩いても、叩けば必ず音がでますが、
高い精神性を伝えてくれる太鼓集団はそうありません。
「鼓童」がそういう存在であり続けてくれることを願わずにはいられません。
今日は元気を沢山いただいた日のような気が致します。
皆さん、ありがとうございました。

(音楽・演劇プロデューサー   橘市郎)