コロナウイルス感染を防ぐということで、
スポーツ・イベントの観客不在開催が行われています。
テレビやネットの存在があるとはいえ奇異な感じがするのは私だけでしょうか。
臨場感ゼロの勝負は興行とはいえません。
開催しなければ選手へのギャラが払えないとか、
少しでも視聴者への楽しみを奪わないで済むという理屈は成り立つかもしれませんが、
選手もファンも疑心半疑では力が入らないのは当然です。
それぞれ事情はあるでしょうが、
一人でも感染者が出たら途中で中止するというリスクを考えると
観客ゼロの開催は問題を孕んでいますね。
いずれにしても1日も早く元の状態に戻れるよう万全の努力をしたいものです。

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最近の布施明さんの歌唱は素晴らしいですね。
もちろん今更かもしれませんが、ここに来て円熟期を迎えているように思います。
布施さんには彼が日劇に初出演した時から注目していたものです。
彼は当時東京の大久保にあった「声専音楽学校」で
テノール歌手の神原誠さんの指導を受けていました。
今彼の歌唱が安定しているのは基礎にクラシックの発声法があるからだと思っています。

もちろん歌謡曲もポッツプスもこなすのは布施さんなりの努力の賜物ですが、
ここに来て原点が生きてきたのです。
かつて、私の友人である指揮者の星出豊さんに
「布施明にぜひオペラをやってもらいたいので紹介して欲しい」と言われた事があります。
でもその頃は流行歌手として売れっ子になっていた布施さんに
そのような時間はありませんでした。
歌手の中には1曲のヒット曲で一生活動している人もいます。
布施さんのように沢山のヒット曲を持ち、一生かけて成長していく人もいます。
私は彼がこれからどのような成果を挙げて行ってくれるのかがとても楽しみです。
話術も味が出てきましたし、人間としても魅力が増してきました。
これからも彼に声援を送り続けたいと思います。

(音楽・演劇プロデューサー    橘市郎)