宮城まり子さんが亡くなられました。
「ガード下の靴磨き」の大ヒットで人気者だった宮城さんは、私が有楽町の日劇で舞台監督をやっていた頃、「スコットランドの鐘」というミュージカル仕立てのショーに主演されたことがあります。

宮城さんは一つのことに集中されるタイプで、毎日のように電話を掛けてきては私に注文を出されました。それも会社にだけではなく自宅に、しかも真夜中に掛けてこられるのです。ショーのクライマックスで、宙吊りのロープにぶら下がり鐘を突く場面がありましたが、その握りの部分に皮をまいて欲しいというリクエストを舞台稽古当日の午前3時頃、自宅に電話してくるほど熱心な方でした。

若輩者の私は「何とかします」と答えたもののいい案が浮かばず、劇場に行ってから倉庫を漁って大量にあったタンバリンの皮を剥いだのを覚えています。柔らかい皮を期待していた宮城さんには大変失礼したと思っています。でも舞台は迫力満点で、大喝采を浴びたのでした。この時共演していたダンサー、神崎一人さんは後に宮城まり子さんが開いた「ねむの木学園」で振付師としてずっと彼女を支え続けました。

障害を持った子供たちに夢と希望を待たせ続けた宮城まり子さん、本当に純粋な方でした。
彼女の優しさが結集されたこの施設をいつまでも守って行って欲しいものです。


新型コロナウイルスの状況が毎日のように社会情勢を揺るがせています。
オリンピックの開催も延期の可能性が濃くなってきました。国会では政府の隠蔽体質がいろいろと暴かれています。明日がどうなるかわからない状態です。こういう時こそ冷静に、自分が出来ることを実行するしかありません。自分だけのことを考えるというのではなく、いかに対処するのが社会のためになるのかを実行することなんでしょうね。
おたおたする事無くクールさを保ちたいと思います。

(音楽・演劇プロデューサー   橘市郎)