今年のダービーは無観客で行われましたが、あのディープインパクトが帰ってきたようなレースでしたね。胸が熱くなりました。競馬はブラッドスポーツと言われる事がありますが全くその通りだと思います。ジョッキーの福永騎手も父親以上の騎乗振りを見せてくれ、これも血という物を感じさせてくれました。無観客であっても、あれだけ感動させてもらったのは幸せでした。

今度、コントレイルが競馬場に登場する時は、ぜひ満員の観客に迎えられることを祈りたいものです。

それにしても私たちに夢を与えてくれる競馬というスポーツには連続したドラマがあり素晴らしいですね。私もまた競馬場に1観客として行けるのを楽しみにしていたいと思います。

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先日、BSテレビでチャプリンの「ライムライト」を観ました。
以前にも観た様な記憶がありますが、今回はチャプリンが表現したかったことをより理解出来たような気がします。一お笑い芸人として、意地を貫き通そうとした男の生き様が見事に描かれていました。

精神的な欠陥からバレエが踊れなくなったダンサーを励まして再起させる年老いた芸人。その優しさに引かれて老人と結婚したいと思うようになるダンサー。そうした中でも道化役としての人生を全うしようとして、舞台上で怪我をして亡くなっていく老人。チャプリンの人生観が伝わってくるような幕切れに思わず涙しました。

人間の一生は富や名声を求めるのではなく、如何に自分自身のアイデンティティに忠実に生きるかなのだと言う事を教えられた気がします。

(音楽・演劇プロデューサー   橘市郎)