一瞬の静寂

音楽・演劇プロデューサー・橘市郎のブログ。日々思ったことを綴っています。 東宝(株)と契約し、1973年にプロデユーサーに。1981年独立後は、企画制作会社アンクルの代表をつとめ、中野サンプラザからの委嘱で「ロック・ミュージカルハムレット」「原宿物語」「イダマンテ」を、会社解散後は「ファンタステイックス」「ブルーストッキング レデイース」などのミュージカルを制作。 2001年京都芸術劇場の初代企画運営室長。

2017年06月

6月25日、ヴェルディ・サロン・ライヴに出演した
ソプラノ講殿由紀奈さんとピアノ坂口航大さんのジョイントは
レベルの高いものでした。
特に講殿さんは1月に出演されてから半年振りの登場でしたが、
声に深みが出て声量も豊かになっていました。
若い人の
進境ぶりは想像以上でびっくりさせられます。
坂口さんは指揮者としても活躍しているので、
講殿さんの表現に関しては良きアドヴァイスをしているに違いありません。
今後もお互いに切磋琢磨していい演奏を聴かせて欲しいと思います。

この日は競馬の宝塚記念に、私が1口馬主となっている
クラリティーシチーという馬が出走したのですが、
稽古のためライヴでレースを見ることが出来ませんでした。
23時から放映されるダイジェストを見るため、急いで自宅に直行。
ドキドキしながらテレビをつけました。
24時近くになって放映されたのですが少しも眠くないのが不思議でした。
スタートするやわがクラリティーシチーは内をついて好位を追走。
4コーナーを回るや4番手から2番手に上がって行くではありませんか。
何しろ最低人気の馬でしたから興奮しましたね。
一瞬先頭に立ったようにも見え、思わず声を出して応援していました。
でも4コーナーを過ぎると力尽きてずるずると後退。
ゴールに入った時にはブービーでした。
11
頭中の10着は残念でしたが充分に見せ場を作ってくれました。
騎乗した松山騎手の若者らしい積極さも好感が持てました。
人馬共に対し、胸躍らせてくれ御礼をいいたいと思います。

27日は待望の桂離宮見学に行ってきました。
以前は見学する権利を取得するのが難しい上に、
遠方という先入観があって敬遠していたのですが、
手続きは簡単になったし、バス本で行けることもあり、
暑さを押して出かけました。
さすがに素晴らしいところでした。
これほど完璧に美しさを追求している庭園とは思いませんでした。
名庭と言われるところはほとんど行っていますが、
やはり、この計算されつくされたバランスには
「参った!」という感じがしました。
作られた当初は、庶民には縁遠いものであったものが
こうして見られることは幸せです。

お城にしても、お寺にしても歴史的建造物がこんなに間近に見られる京都は、
やはり贅沢なところだと思います。

(達人の館 代表 橘市郎) 

6月18日のヴェルディ・サロン・ライブは
「アンサンブル24」という9人編成の男声コーラスが登場、
70
歳前後の熟年パワーを爆発させてくれました。
アンサンブル24は同志社大学のグリークラブの同期生が
結成したグループで、結成当初は12人いたために、
「二十四の瞳」にかけて付けられた名前だそうです。

亡くなられた方もいて今は「十八の瞳」なのですが、
結成当時の名前で活動されているんですね。
昨年12月にローム・シアター・サウス・ホールで行われた
「江藤ゆう子 昭和を歌う」にゲスト出演していただいたご縁で
ヴェルディ・サロン・ライブにも出演していただきましたが、
当時よりパワーアップした感じでした。
ピアニストも入れると10名。
1人が5人のお客様を連れてくれば50人という計算になるとはいうものの
60名というお客様で会場は満杯となりました。

部はイギリスのマドリガル、黒人霊歌、ロシア民謡、日
本民謡をソロを交え、身振りと手振りで奔放に表現。
堅苦しさは一切なく笑いさえも醸しだしていました。
MCも冗談を言いながらゆとりたっぷりのものでした。
部はダーク・ダックスやデューク・エイセスのヒット曲と
ザ・ピーナッツのヒットメドレーをご愛嬌たっぷりに聴かせてくれました。
最後にお客様と童謡やフォークソングを合唱。
アンコールの時はすっかり会場がひとつになっていました。
往年のコーラスグループが次々と解散していく寂しさを
補ってくれるような楽しいライヴでした。
さすが人生の荒波を乗り越えてきた熟年パワーは違いますね。

今度の25日(日)はソプラノの講殿由紀奈さんと
ピアノの坂口航大さんのジョイント・ライブです。
お二人とも2度目の出演ですが、前回好評だっただけに楽しみです。
今週も盛り上がりましょう!

別件ですが、同じ25日に阪神競馬場で宝塚記念が開催されます。
北島三郎さんの持ち馬キタサンブラックが断然人気ですが、
このレースに私の持ち馬クラリティシチーが参戦します。
持ち馬といっても共同馬主なので500分の1の権利しかありません。
しかも、一番実績がない最低人気の馬です。
オリンピックではありませんが参加することに意義があるという感じです。
でも競馬に絶対はありません。
単勝と複勝を少しずつ買って応援するつもりです。
サロン・ライヴの稽古のため生観戦が出来ないので、
帰宅後のVTRを楽しみに見ることにします。
力いっぱい無事に走っておいで!

(達人の館  代表 橘市郎)

嵐のような引越しをし、川越塔子さんのリサイタルを終えたと思ったら、
もう4ヶ月が過ぎていました。
年々年を取るにつれ、日々の流れが速くなるといいますが
全くその通りだと思います。
もう1年の3分の1が過ぎたと思うと唖然としてしまいます。

久しぶりにゆっくり新聞に目を通してみると、
安倍1強といわれる政治の世界では、野党がいくら抵抗しても、
与党の思惑通りに物事が決まっていくように思われます。
「共謀罪」の件にしても「加計学園」の件にしても、
結局は強行採決で決められたり、うやむやにされてしまうのでしょうか。
反対意見が全く無視される恐ろしさ、
ひとつの方向に向かって転げ落ちてゆく危険。
そういったものを過去の経験から感じ取っている私のような高齢者が、
伝えないといけないと思いつつ、無力感に襲われる毎日です。

一方で、将棋の藤井四段や卓球の10代選手の活躍を見ていると、
日本の明るい未来が見えて来るような気がしてきます。
彼ら彼女たちの共通点は、自分が持っている才能を自ら感じ取り、
目標に向かって貪欲に努力していることでしょう。

政治や経済は人にとって、重要なファクターには違いありませんが、
文化やスポーツの世界に見られる夢と希望の存在は生きる力を与えてくれます。
私が関わっている仕事もそういう風に貢献出来たらいいなあと思います。
結局自分に出来ることを精一杯やれということなんでしょうね。

(達人の館 代表 橘市郎)

6月4日、青山音楽記念館で行われた
「ソプラノ 川越塔子リサイタル」が無事終わりました。
たった1日1回の公演ながら半年間かけていただけに、
ほっとしたやら、寂しいやらいつもどおりの複雑な気持ちです。
客席は結局60パーセントの入りでしたが
厳選されたお客様といった感じで、とてもいい雰囲気でした。

フランス・オペラから始まったのですが、
川越さんも細川さんも白い衣装で登場。
お二人とも美形なのでサロン風な華やかな幕開きでした。
川越さんの澄んだ声が響き渡り、会場全体が共鳴箱のようです。
大きなホールでは味わえない舞台と客席が
一体となった感じかとても新鮮でした。

1部では、お客様を飽きさせないように、
プラカードや風船を使ってのコミカルな演出が笑いを誘いました。
川越さん自身が考えたことですが、
ただ好きな歌を歌えばいいというのではなく、
お客様を楽しませようという心遣いが伺えました。
2部は一変して着物姿で登場。
「夕鶴」のおつうが与ひょうを思う心を切々と歌い、
「蝶々夫人」のアリア「ある晴れた日に」繋げていきます。
確かにこの曲は心情的に共通するものがあり、
川越さんの感性には脱帽です。
そして、蝶々さんが自害する直前に歌う「可愛い坊や」。
迫真の表情で歌う川越さんと蝶々さんの姿がだぶり
思わず涙がこぼれました。
夜、初めてオペラのアリアを聴いたという女性から
メールをもらいましたが、その方も涙が溢れたそうです。

この日は青山財団の田中理事長はじめ、
耳の肥えた方が大勢お見えになっていましたが、
みなさんからお褒めの言葉をいただきました。
単に外交辞令で言っていただいているのか、
心から言っていただいているのかは職業柄解ります。
満員には出来ませんでしたが、
本物の達人を紹介出来て良かったと思います。

桂川を越えて来て下さった京都のお客様。
東京、大阪、宮崎からはるばるお越しくださったお客様。
そして会館のスタッフの方々、ありがとうございました。
川越塔子さん、細川智美さん、本当にお疲れ様でした。
お二人とはまたご一緒したいと思います。
お二人にとって京都が第の故郷になることを心から願っています。

(達人の館 代表 橘市郎)

9月に春秋座で上演される歌劇『魔笛』の一般前売りが開始されました。
春秋座オペラは今回で8回目になりますが、
歌舞伎劇場の機構を活用した独特な演出で年々注目を集めてきています。
春秋座は3代目市川猿之助さんが初代芸術監督を務められましたが、
初めから歌舞伎とオペラの上演を想定して建てられています。

通常、歌舞伎劇場にオーケストラ・ピットは必要ないのに、
1.8メートルの深さを持つ本格的なピットが備えられています。
この発想は3代目市川猿之助さん(現2代目市川猿翁)が、
パリのシャトレー劇場で歌舞伎の様式を生かしたオペラ『金鶏』を演出して、
大成功を収めたことから生まれました。

私が猿翁さんに声を掛けていただいたのも
オペラ好きだったからだと思っています。
本当は春秋座でオペラの演出をぜひやって欲しかった。
中でも一番やって欲しかったのが『魔笛』です。
荒唐無稽な話ではありますが、猿翁さんなら、
大スペククトラルなオペラにしてくれたと思っています。

今回は三浦安浩さんの演出ですが三浦さんは『椿姫』『カルメン』と過去2回、
春秋座の機構を上手く生かして演出をしてくれたので楽しみです。
指揮の大勝秀也さんは春秋座初登場ですが、
私が信頼している公演監督の松山郁雄さんが
太鼓判を押している方なので安心です。
出演は春秋座最多出演を誇る片桐直樹さんをはじめとする実力者ぞろい、
ベテランとオーデイション組が競い合う舞台は火花が散ることでしょう。

さて、この『魔笛』で初日の<夜の女王>を努めてくれるのが川越塔子さんです。
川越さんはこれまで春秋座で、『夕鶴』のつう、『ラ・ボエーム』のミミ、
『蝶々夫人』の蝶々さん、『椿姫』のヴィオレッタ、
『セヴィリアの理髪師』のロジーナんと5役のヒロインを演じ分けてくれました。
今年はなんとコロラテューラ・ソプラノの大役を演じてくれます。
その川越塔子さんが今度の日曜日、6月4日に
青山音楽記念館でリサイタルを開催いたします。
15時の開演ですが、全編オペラ・アリアという豪華なプログラムです。
当日券もご用意していますので、ぜひお出かけください。
達人の館が自信をもってお届けする「川越え子リサイタル」。
どうぞお見逃しなく!

(達人の館 代表 橘市郎)

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