一瞬の静寂

音楽・演劇プロデューサー・橘市郎のブログ。日々思ったことを綴っています。 東宝(株)と契約し、1973年にプロデユーサーに。1981年独立後は、企画制作会社アンクルの代表をつとめ、中野サンプラザからの委嘱で「ロック・ミュージカルハムレット」「原宿物語」「イダマンテ」を、会社解散後は「ファンタステイックス」「ブルーストッキング レデイース」などのミュージカルを制作。 2001年京都芸術劇場の初代企画運営室長。

2017年08月

50年近くお付き合いをしている作曲家、音楽監督の甲斐正人さんから、
8月19日にメールをいただきました。
「8月26日に京都に行きます。ミュージカル『ブッダ』の再演初日が
京都アルティであるので、ぜひお目にかかりたく、
また初日の舞台をぜひ奥様とご覧になりませんか?」とありました。
(甲斐さんとの馴れ初めは今年3月に「京滋協」という
舞台関係者の機関紙に載せたのですが、甲斐さんのホームページに
転載されていますので、ぜひご覧になってください)
こちらもどうぞ ※素晴らしきスタッフたち


ちょうど8月26日は何も入っていなかったので、
転居したばかりの家にも寄っていただき、
いっしょに会場へ向かえばいいと考えました。
ところがひとつ問題がありました。
21
日から高校2年生の孫が一人で東京から来ていて、
26日は彼の誕生日だったのです。

甲斐さんに事情を話すと「それはちょうどいい。
お孫さんもご一緒にどうですか?」と言ってくれました。
孫にとっても「ラッキー」といった感じで、すべてが解決したのです。
一度我が家に寄っていただいた甲斐さんご夫妻とわれわれ夫婦、
それと孫の5人でアルティーに向かったのは15時過ぎでした。
開場時刻の16時半に会場に到着。
甲斐さんはスタッフに迎えられ私のことも紹介してくれましたが、
13年前にわらび座の『アテルイ』を春秋座で上演した時の出演者や
スタッフがいて大変懐かしい思いをしました。

開演数分前から音楽が流れ始め
如何にもインドといった雰囲気が漂ってきます。
私は以前、大津市で見てはいるのですが、
舞台の飾りも違っていて洗練されていました。
この音楽を作曲した人が隣にいると思うと結構緊張するものです。
でも暫くすると舞台に引き付けられ一般のお客様と一緒に拍手をしていました。
出演者は良く訓練されていてみんな高いレベルで頑張っていました。
ブッダ役の戎本みろさんがハードな稽古のためか、
声が本調子でなったのが残念でしたが、
それでも芝居では存在感を示しさすがという感じでした。
人間と狼の血を引くタッタ役の三重野葵さんが素晴らしく、
動きも歌も光っていました。一流の役者さんに較べても遜色ないレベルでした。

わらび座のスタッフはいつも素晴らしい人を起用していますが、
『ブッダ』の脚本・斎藤雅文、演出・栗山民也、
音楽・甲斐正人、照明・服部基、
他の皆さんも素晴らしい仕事をされていました。
いただいた資料を見ていたら、『アテルイ』の時、京都公演を担当されていた
山川龍巳さんが社長になられていたのも感動しました。
山川さんは道後温泉に行った時も「坊ちゃん劇場」の館長をされていて、
寄るように声をかけていただきました。結局寄れなかったのですが。
甲斐さんのお陰でいろいろと思い出が蘇ってきた1日でした。
これを機会にまた秋田に行って、
芝居と温泉と観光の旅に出かけたいと思います。
甲斐さん、素晴らしい夏の思い出をありがとうございました。
これからもいい作品を沢山残してくださいね。

(達人の舘 代表 橘市郎)

ヴェルディ・サロン・ライヴが始まって早くも10ヶ月が経ちました。
月は「都をどり」のため中断しましたが、月から再会。
月、月は大学が夏休みになったり、
お盆を中心とした行事と重なるため
ヶ月に公演ずつのライヴとなりました。

820日のライヴにはバリトンの井上大聞さんが出演してくれました。
彼のことは以前にも書きましたが、堀川高校からストレートで
上野の国立芸術大学に入り、現在大学院で研鑽中の逸材です。

彼の祖母である井上美恵子さんは京都造形芸術大学の元教員で
現在は評議員をやられていることから、私も以前から存じ上げていました。
春秋座の友の会に入っていただいていたため、時々お話もしていましたが、
思わぬところで、ばったり出会うことがあり不思議なご縁を感じていました。
例えば大丸の入り口、全く方向違いのバスの中。
そんな時に「私の孫が音楽大学の声楽科に入りたいと言っているのですが、
どうしたらいいんですかねえ?
それも東京の上野にある芸大に行きたいらしいのです」。
先生は私がオペラの制作をしているのを
ご存知だったので相談されたのでしょう。
「先生、そこはストレートではなかなか入れないいところですよ」
などとお話したのがスタートでした。

堀川高校の卒業演奏会で大聞さんの歌を聴いた時、
私は彼の素質に惚れ込みました。
実に素直な声とステージマナーの良さに大物感を感じたのです。
もちろん努力もされたのでしょう。
彼は周囲の期待に応えて、見事希望の大学に合格し、
めきめき腕を磨いていきました。
彼の存在があったので、ヴェルディ・サロン・ライヴの企画が
スムーズに行ったのかもしれません。
今、住んでいるのは東京ですし、大学院での研鑽のこともあり、
出演の機会がなかなか得られない中、
今回回目のライヴ出演が決まりました。
お盆終了直後の時期ですし、動員面を心配したのも事実です。
ところが70名の予約が入ったのです。
これには美恵子先生やお母様のお力もあったことでしょう。
前回、前々回も大変なご協力をいただいていたと思います。
でも今回はライヴ始まって以来の大入りでした。
これ以上はもう入りきれないという盛況で、
店のオーナーにも席の作り方、お客様対応で大変おせわになりました。

さて、大聞さんのステージですが、今回はゲストはなし。
しかも息抜きの軽い曲なしの熱唱でした。
ピアノの坂口航大さんも汗びっしょりの伴奏。本当にお疲れ様でした。
そして私がびっくりしたのが、大聞さんのトークでした。
曲目の解説を原稿なしで丁寧にユーモアを交えて進行したのです。
10
ヶ月前に、はにかみながらおしゃべりしていた人が
こうも変わるものかと感心を通り越して感動しました。
若い人の急速な進歩に改めて驚かされたのです。
声にも腰が入り堂々としたバリトン歌手になってきました。

ただ、テノール歌手への憧れがあるらしく、
多少無理した高音を使っていたことに関しては軽く注意をしましたが、
ご本人も分かっていたようです。
でもこの意欲も彼のいいところだと思っています。
今度はいつ出演してくれるのか気になるところですが、
彼にとっては大切なオーディションもあり、今後のことは未定です。
でも私にとっては大きな夢があります。
彼がもっともっと大きくなり、
地元の春秋座オペラで主役を勝ち得てもらうのがベストだと思っています。
消耗品である声を大切に磨き上げ、
バリトン歌手が主役のオペラを務めてくれるよう期待しています。

「頑張れ井上大聞!」

(一般社団法人 達人の舘 代表  橘市郎)

714日(月)、大阪で、レ・フレールの弟さんである斎藤圭土さんが
アクセル・ツヴィンゲンヘルガーさんと
ヴギウギの演奏会を開催しました。
ツヴィンゲンヘルガーさんは圭土さんの先生でもある人なので
興味津津で出かけていきました。

会場は難波の大阪シティエアターミナルOCAT近くにある
フラミンゴ・アルージャ。
レストラン・シアター風のライヴ・ハウスで天井が高く、
大きなシャンデリアが印象的でした。
食事が終わった頃、お二人が登場。
ツヴィンヘルガーさんは100キロはあろうかと思われる体格で
身長も高く迫力満点です。
でも、マッシュルームのような髪型が個性的で、
愛嬌のある表情に親しみを覚えました。

二人が並んでお辞儀をした時、
私は何となく弁慶と牛若丸を連想していました。
演奏が始まると先生の重厚なリズムに乗って
圭土さんがシャープなオブリガートを右手で奏でます。
それは弁慶と牛若丸が剣術の稽古をしているような感じを抱かせました。

もともとブギウギはアドリブで演奏されていたようですが、
息の合った対象的な二人が顔を見合わせながら、
アップテンポで盛り上げていくと、
いつしか客席も手拍子を打ち、声を発していくのでした。
前半30分、後半40分あっという間の時間でした。
特に圭土さんのオリジナルはクラシックの基盤を感じさせ、
ともすると単調になりがちなブギウギとは違う
メロディーの華麗さが光っていました。

彼は作曲家としても素晴らしい才能の持ち主であることを再確認しました。
来年早々長岡京で京フィルと共演する
「レ・フレール・スペシャル・コンサート」が益々楽しみになってきました。
お兄さんの守也さんも独自の世界を追及しながら、
弟さんとコンビを組むときは「レ・フレール」として
息の合った絶妙な演奏を聴かせてくれます。

皆様、来年の1月14日をメモして置いてください。
長岡京でお待ちしています。

(達人の舘 代表・プロデューサー 橘市郎)

中央競馬の女性騎手藤田菜七子さんが、
8月5日(土)と6日(日)に勝利を挙げ、
今年7勝目をマークしました。

昨年久しぶりに登場した中央競馬の女性騎手だったので、
デビューの時から家内共々応援していました。
でも、華々しいデビューとは裏腹になかなか勝てず、
「腐ってしまわなければいいがなあ」と思っていた矢先でした。
1日に2~3レース騎乗機会を与えてもらっていたものの、
ほとんど勝てそうに無い、2桁着順の馬が多く、
野球で言うと敗戦処理に起用される投手のようでした。

「たまには勝てそうな馬に乗せてあげればいいのに。
これでは腐ってしまうんじゃないの?」と言う家内に
「最初のうちはしょうがないよ。どんな馬であれ、
人気以上の着順に持ってきて、彼女は乗れると評価されないことには
チャンスがやってこない世界なんだ」という私も
菜七子ちゃんには同情的で、毎レース声援を送っていたのです。

27日、彼女がコパノアラジンという馬に乗って勝利した時は
「よし、これで彼女にツキが巡って来るぞ!」と歓喜したものです。
私が思ったとおり、この頃から彼女の騎乗ぶりに
元気が蘇って来たような気がします。

8月5日、彼女はフローラルシトラスという馬に乗り今年6勝目を挙げました。
そして翌8月6日、20歳の誕生日を前にして、新潟の最終レースに騎乗。
何と11番人気の馬を勝利に導き、今年の7勝目を挙げたのです。
この馬は、かつて菜七子ちゃんに勝利をもたらした、
あのコパノアラジンと同じ馬主の馬、コパノディールでした。
2着、3着馬も人気薄で、3連単は何と1,791,220円の大穴。
これで早くも彼女は昨年1年間の勝ち星を上回ってしまいました。
これで彼女の騎乗回数も、強い馬に乗る機会も増えることでしょう。
慢心することなく、ラフ・プレイに陥ることなく
飛躍して行って欲しいものです。
男性ばかりの社会で果敢に勝負を挑む藤田菜七子騎手に
声援を送り続けたいと思います。
(達人の舘 代表 橘市郎)

 

この週間、めまぐるしく社会の状況が変化しています。
27日に民進党の蓮舫代表が辞任したと思ったら、
続いて28日に稲田防衛大臣も辞任。
31
日には、森友学園の籠池夫妻が逮捕されました。
8
3日に内閣改造が行われますが、
こんなにめまぐるしく動く日々は異常ですね。
そのうえ、北朝鮮情勢やトランプ政権の混乱で外国も揺れています。

一方、高校野球の夏の甲子園大会、世界水泳、世界陸上など、
スポーツの世界は活気を呈し平和です。
「世界がスポーツ界と同じように
仲良くやっていけたらいいのになあ」と思うは私だけでしょうか?
こんな状況の中でも、私は普通に仕事をこなして行こうと思っています。

今月中旬から歌劇「魔笛」の稽古が始まります。
そして本番は2324日です。
ヴェルディ・サロン・ライヴは20日に、
バリトンの井上大聞さんが久々に帰って来ます。
10月中旬には14日に長岡京記念文化会館で行われる
「レ・フレール&京フィル」のチケットが売り出されます。
また、16日には、京都国際交流会館で
「上原まりが筑前琵琶で語る平家物語」を開催します。

世の中が如何にめまぐるしく変わろうとも、あたふたせず、
マイペースで自分に与えられた天職を全うすることが
一番大切だと考えています。
どうぞ今後とも「達人の館」をよろしくお願いいたします。

(達人の舘 代表 橘市郎)

 

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