一瞬の静寂

音楽・演劇プロデューサー・橘市郎のブログ。日々思ったことを綴っています。 東宝(株)と契約し、1973年にプロデユーサーに。1981年独立後は、企画制作会社アンクルの代表をつとめ、中野サンプラザからの委嘱で「ロック・ミュージカルハムレット」「原宿物語」「イダマンテ」を、会社解散後は「ファンタステイックス」「ブルーストッキング レデイース」などのミュージカルを制作。 2001年京都芸術劇場の初代企画運営室長。

2017年09月

2324日の両日に行われたオペラ『魔笛』が無事終了いたしました。
台風がやって来るかもしれない。
ミサイルが飛んでくるかもしれないという緊迫した
月中旬から後半にかけての日程でしたが、
幸運にも影響を受けずに開催されました。
前の週でしたら少なからず台風の影響を受けたことでしょうし、
本当についていたと思います。
その上、今回は複雑なエレベーションのある舞台装置、
しかも回り舞台が頻繁に使われ、
スッポンの上げ下げも何度か行われるという危険極まりない演出でした。

出演者もスタッフもさぞや緊張したと思います。
演出の三浦安浩さんや舞台監督の青木一雄さんが何度も注意を喚起し、
出演者も慎重に対処したため無事終了することが出来ました。
お客様もスリリングな舞台を興味深く見ていただけたと思いますが、
舞台監督の経験のある私はいつも緊張しておりました。
でも、何の事故も無く、無事終えられたのはみんなが約束事をきちんと守り、
真摯な気持ちで舞台を努めたからだと思っています。
別に危険な冒険をしたわけではありませんが、
少しでも甘い態度で臨むと往々にして事故が起こるものなのです。

ヶ月に渡る稽古が続きましたが、
全員が元気に役割を果たしてくれたことに感謝したいと思います。
演出の三浦さんはいつも物静かに自分の意図をスタッフとキャストに伝えていました。
指揮の大勝秀也さんもユーモアを忘れず厳しい稽古をしてくれました。
公演監督の松山郁雄さんに至っては、出演も兼ね
キャストとのコミュニケーションを実に巧みに取っていたと思います。

全ての参加者が気持ち良く、
作品作りに取り組んだ成果が舞台全体に溢れていたように思います。
作品の評価はあくまでもお客様が判断してくださることですが、
ひとつの目標に向かって全員が協力し合って作り上げた課程については
公演プロデューサーとして高く評価し、心から感謝しております。
お客様の感想についてはまた改めてご紹介いたしますが、
ここでは回行われた「春秋座オペラ」の中で
今回の『魔笛』が最も多いお客様に来ていただいたことをご報告し、
来年に行われる『蝶々夫人』に向かって、
さらにいい作品作りに取り掛かりたいと思います。
先ずはご協力いただいた方々に心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。

(一般社団法人 達人の舘 代表/『魔笛』公演プロデユーサー 橘市郎)



9月18日、台風一過の秋晴れの日にオペラ「魔笛」の舞台稽古が行われました。
今年は月に日間、春秋座での稽古はあったものの、
ほとんど大阪、兵庫での稽古だったためなかなか立ち会えず、
スタッフ、キャストとも久しぶりの再会でした。
照明、衣装は地明かり、稽古着でしたが
舞台装置は本番どおり仕込まれた中での稽古。
柴田隆弘さんと学生が作り上げたユニークな立体的なセットは
スタッフ、キャストにやる気を起こさせるものでした。
歌も台詞もほぼ仕上がっていて、稽古の厳しさが伝わってきました。
公演監督の松山郁雄さん、演出の三浦安浩さん、
指揮者の大勝秀也さんを始めとする
スタッフの献身的な働き振りが伝わってきました。

主役クラスの充実した歌唱、演技は当然ですが、
私が特に感心したのは、組の侍女と童子の活躍ぶりです。
お互いが初日組みと2日目組に負けまいとする、
いい意味でのライバル意識をむき出しにして、
切磋琢磨している姿は清々しさを感じさせました。
侍女組みは、もともと歌唱力があるメンバーが揃っていますが、
緻密なアンサンブルといい、
一人ひとりのキャラクター作りに工夫のあとが見え、
奥行きのある侍女トリオとなっていました。

童子組みは、これがオペラ歌手? と
目を疑いたくなるような躍動感溢れる動きをしています。
ミュージカル・タレントのようなオペラ歌手たちの
出現といっても過言ではありません。
もちろん歌唱はしっかりしたオペラ歌手のものです。

幕が上がる前に余りほめてはいけませんが、
この2組のアンサンブルの活躍が
他の役の人たちに刺激を与えているのは事実です。
もう5日もしないうちに初日の幕が上がりますが、
オペラ・ファンのみならず、オペラが初めての人にも楽しく
聴いて、見ていただける作品になることは間違いありません。
当日売りも若干ございますのでぜひお見逃し無く。
今までの「魔笛」では見られなかった溌剌としたエンターテインメントです。
それにしてもモーツァルトの音楽は美しいですね。

(達人の舘 代表 橘市郎)
詳細はこちら
(チラシをクリックすると特設サイトにジャンプします)

9月23日(土)14:00 S席は完売
  24日(日)14:00
春秋座(市バス上終町京都造形芸術大学前)
 S席 一般 10000円
 A席 一般 8500円
 学生&ユース席 3000円(座席範囲指定)

     
今月2324日に春秋座で行われるモーツァルトのオペラ『魔笛』
紹介記事が京都新聞の夕刊に載りました。
歌舞伎とオペラの両方が理想的に上演出来る様に作られた
春秋座で行われる「春秋座オペラ」は今年で8回目を迎えます。
歌舞伎とオペラはともに西暦1600年を少し過ぎた頃に生まれました。
日本の京都とイタリアのフィレンツェが誕生の地です。
遠く離れた二つの都市で同時期に
歌舞伎とオペラが誕生したなんて不思議な縁ですね。

猿翁(3代目市川猿之助)が春秋座に込めた思いは、この縁を生かし、
ひとつの劇場で歌舞伎とオペラを毎年上演していくことでした。
そして、猿翁自身がこの二つを演出するはずでした。
残念ながら病に倒れたため、この構想は実現しませんでしたが、
歌舞伎は代目猿之助さんが2代目芸術監督として、
しっかり引き継いでくれています。

オペラの方も8回目を迎え、やっと軌道に乗ってきました。
初日の方はS席が完売となっています。
回り舞台、花道、スッポンなどの
舞台機構を生かした演出が評価を得たようです。
また総合芸術としてのオペラに、
教員や学生が積極的に関わってくれるようになりました。

オーデイション・システムが浸透し、
キャリアは無くとも優秀な歌手がベテランと競い合う状況が生まれてきました。
これらはビジネスではなく、春秋座オペラのありように
献身的に協力してくれている
ミラマーレ・オペラの公演監督・松山郁雄さんをはじめとする
各スタッフの皆さんのお陰です。

一人ひとりのお名前を挙げたらきりがないほど
大勢の人の協力あって成り立っている「春秋座オペラ」を
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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日の方はまだS席も取れると思いますので、
この機会にぜひお越しいただけましたら幸甚です。

公演情報はこちらから


2017年9月24日(日)14:00
春秋座(市バス上終町京都造形芸術大学前)
S席 一般 10000円
A席 一般 8500円
学生&ユース席 3000円(座席範囲指定)

(達人の舘 代表 橘市郎)

 

 

9月2日、春秋座でコロッケさんのコンサートがありました。
実は31日にも新歌舞伎座公演で
コロッケさんの芝居とショーを見ていたので、いいかとも思ったのですが、
京フィルさんとの共演という試みに興味があり、出かけることにしました。
京フィルさんには、オペラ『魔笛』でも、
長岡京のレ・フレール公演でもお世話になるので
コロッケさんとの相性も聴いておきたかったのです。

それと、もうひとつの理由は、私の後継者として
中日劇場から春秋座に来ていただいた舘野プロデューサーが
自信をもって実現したプログラムだったからです。
彼は春秋座のニュースレターでも、
この企画にかける意気込みを熱く語っていました。
さらに、もうひとつ「春秋座なら、コロッケさんの楽屋を訪ねてもいいなあ」
と言う甘えもありました。
商業劇場の楽屋を訪れるにはそれなりの用事がないといけません。
でも、春秋座ならあらかじめ舘野さんに話を通しておけば
許されるような気がしたのです。

実はコロッケさんが東京でデビューしたのは1980年ですが、
その翌年、まだフィーバーする前に
コロッケさんに過酷な仕事をしていただきました。
当時、私は東宝のプロデューサーをしながら、
日産自動車関係のイベントを数多く手がけていたのですが、
そのひとつに銀座ギャラリーで行われる
24時間テレビ 愛は地球を救う」の
イヴェント制作と演出の仕事がありました。

24時間ぶっ通しで日産銀座ギャラリー内の特設ステージを埋めていたのです。
どうしても真夜中になると客足も減るし、スタッフも眠くなります。
真夜中のステージを努めてくれるエンターティナーを探すのは毎年大変でした。
売れっ子はギャラも高いし、大体引き受けてくれません。
その時思いついたのが、まだ売れてはいないが面白くて、
質の高い芸を持ったコロッケさんだったのです。
コロッケさんは快く真夜中のステージを受け持ってくれました。
予想通り客席は大受け。
間もなくフィーバーするに違いないと誰もが思ったステージでした。

それにしても、これは36年前のこと。
コロッケさんが私のことを覚えてくれているか心配でした。
しかも、回目のショーが熱演のため
予定を30分もオーバーするという状況だったのです。
館野さんにすぐ楽屋の方に来てくださいと言われ駆けつけると
コロッケさんは楽屋の入り口に居てくれました。
「まだデビューしたての頃だったので良く覚えています。
ギャラリーの中にステージが組まれていて、
真夜中だというのに大勢の人が聴いてくれていました」
もちろん私のことを覚えているというのではなく
その時の状況を覚えているということです。

でも、うれしかったですねえ。
どのタレントさんもデビュー時の苦労したことは覚えているようです。
握手をして楽屋を後にした私は
回目のステージをスタッフ席から拝見しました。
20分近くシェイプアップしてのステージでしたが、
京フィルとの共演が楽しく質の高いステージでした。
コロッケさん、館野さん本当にありがとうございました。

(一般社団法人 達人の舘 代表 橘市郎)

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