一瞬の静寂

音楽・演劇プロデューサー・橘市郎のブログ。日々思ったことを綴っています。 東宝(株)と契約し、1973年にプロデユーサーに。1981年独立後は、企画制作会社アンクルの代表をつとめ、中野サンプラザからの委嘱で「ロック・ミュージカルハムレット」「原宿物語」「イダマンテ」を、会社解散後は「ファンタステイックス」「ブルーストッキング レデイース」などのミュージカルを制作。 2001年京都芸術劇場の初代企画運営室長。

2018年04月

ただいま、大事をとりまして検査入院をしております。
少しの間だけブログを休止いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。

少し古くなりますが、411(水)に大阪新歌舞伎座に行って来ました。
親友の水谷幹夫さんが演出する
「花盛り四人姉妹~吉野まほろば物語~」の
舞台通し稽古を見る為です。
藤あや子、石野真子、藤原紀香、三倉菜奈の四人姉妹が織り成す
人生模様は水谷さんが前にも演出した名作と言っていいもの。
芝居経験の浅い四人を上手く生かした職人芸はさすがでした。
特に長女を演じた藤あや子さんの緻密な演技は見事で、
今後は女優としても、いい結果が期待できるものでした。
商業演劇特有な華やかさは新劇とは違う風情がありますね。

稽古が終わり、駄目出しのため集まってきた役者の中に、
見覚えのある人がいました。大沢健さんです。
彼は20年以上前に「グイン・サーガ 炎の群像」と言う
ミュージカルに10代の王子役で出演してくれていました。
正しく久しぶりの再会に思わず声を掛けずに入られませんでした。

彼は一瞬ポカンとしていましたが、
名前を告げると数秒たって「ああっ!」と言いました。
名刺を渡したので今は思い出していると思いますが、
お互いに20年会わずに居ると変わるものですね。
ちなみに今回の大沢さんの役柄は三倉さんの夫役でした。
10年一昔と言いますが、20年は何というんでしょう? 

*

14
(土)は京都府立文化芸術会館に行き、
14時開演の「舞踊集団菊の会公演 日本のおどり 陽春に舞う」を見て来ました。
私は不勉強にも菊の会の存在を知らず、
案内をいただいて初めて出かけて行ったのです。
パンフレットを見る限りでは、かなり頻繁に活動しているようでした。
余り期待しないで開幕を待っていると、定
刻に大音響とともに緞帳が上がりました。

オープニングは女性6人による群舞「桜花」でしたが、
これが一糸乱れない踊りなのです。
次の男性人と女性人による「縁は周る」も切れのある踊り。
私は「これは本物だ!」と思いました。
そして、リーダーの畑聡さんが太郎冠者を演じる狂言舞踊「釣り女」になると、
すっかり観客を狂言の中に引き込んでしまったのです。

部の「おどり風土記」は民謡あり,太鼓あり、大群舞ありで、
一気にフィナーレへと突き進みました。
日舞のショーにありがちな幕間があったり、
空白があったりすることなく、
フィナーレの総踊りに向かって行くテンポは
かつての日劇を思い起こさせました。
こういう日本物のショーは久しぶりに見たような気がします。

畑さんを始めとするみなさんの奮闘振りに、
改めて拍手を送りたいと思います。
こういうグループを知らなかった自分を、
恥ずかしいと思ったのも事実です。

モダンなショーはあちらこちらで見かけますが、
元来日本物のショーはこうあるべきだと思ったのです。
畑さんには、若いメンバーを増やしつつ
この伝統を守って行って欲しいと思います。

(一般社団法人 達人の館  代表 橘市郎)

4月6日(金)にレ・フレールがロームシアターの
中ホールでコンサートを開催しました。
この公演は達人の館の主催ではないので、
このブログでご紹介することもしなかったのですが、
ポラリス・アルファーの伊藤代表から
ご招待のメールをいただき急遽出かけることにしました。

コンサートを主催するのと、
一観客として鑑賞するのとでは全く気持ちが違います。
今回は気楽に会場へと向かったのですが、生憎体調がすぐれず、
めまいの症状を抱えたまま演奏を聴くことになりました。
本当にいい席を取っていただき大感激だったのですが、
やっと席に着きステージを見るとピアノが上手から下手に動いているのです。

この会場は江藤ゆう子さんのコンサートで演出をしているので、
回り舞台も、スライドもないことは分かっているので、
おかしいなと思いました。これこそめまいの症状だったのですね。

でも演奏が始まると、ほろ酔い加減で聴いているようで、
かえって心地よく鑑賞出来ました。
守也さんと圭土さんのお二人が譜面を見ることなく、
完璧に演奏する姿を「凄いなあ!」と改めて思いました。
普段、ファンの方と一緒に手拍子を打つことはなかったのですが、
この日ばかりは全く、一ファンになりきっていたようです。

いつも冷静に聴いていた楽しみ方が
良かったのかどうか考えさせてもくれました。
アンコールが終わって楽屋を訪ねようとしたのですが、
立ち上がった途端にくらくらと来て歩くのも恐い状態になったので、
ロビーに居た伊藤さんとマネージャーの野上さんにお断りして、
楽屋には寄らずふらふらしながら家路についたのでした。

今は何とかメールも打てる様になりましたが、
当たり前に真っ直ぐ歩けることが
どんなに素晴らしいことかを痛切に感じた日々でした。
来週は元気になって平常運転したいと思います。

(一般社団法人 達人の館   代表 橘市郎)

IMG_2182
先週は桜が早くも満開になり、
世の中がピンク色に染まったような1週間でした。
特に京都は周りの風景と桜が絵になる所が多く、
東京にいた頃よりも情緒を感じます。

自宅の側に流れる小畑川に沿って、
桜並木が浮かび上がる様はなかなか見事です。
そういえば引っ越してくる前、
毎年楽しみにしていた高野川沿いの桜も忘れられません。
噂で素晴らしいと聞いていた
淀川河川公園 背割堤の桜は毎年気になりながら行けていなかったので、
今年は何が何でもと思っていたところ、
3月28日がオフになったので初めて見物に行って来ました。

京阪電鉄の八幡駅から5~6分歩くと
木津川と宇治川に挟まれた背割堤に到着。
そこから1.4kmに亘る桜のトンネルは実に見事でした。
こちらの写真はあちこちで目にされていると思いますが、
樹齢110年以上のソメイヨシノが咲き誇る壮観さは想像以上で、
川の水をたっぷり吸い込んだせいか、
どの木も街中で見る桜よりも大きく見えました。

桜以外の樹木も太く、また高かったように思います。
それにしても人工的に川の流れを変え、
このような景観を創り出した明治時代の人は凄いですね。
圧倒された1日でした。

*

さて、4月は春秋座で「都をどり」が開催されるため
ヴェルディ・サロン・ライヴはお休みになります。
純粋な喫茶店としてご利用になるお客様が多いため、
それに応えようとするお店の方針です。
昨年もそうでしたがこのヶ月を前向きに捉え、
厳選された出演者を速めに確保いたしました。

5月13日は フルートの奥田裕美さん、
      ファゴットの奥山紀子さん、
      ピアノの磯貝亜美さんのジョイント。
5月20日は ソプラノの栂千晶さんと
      ソプラノ大門真知子さんのジョイントで
      ピアノは高木理枝子さん。
6月3日は ソプラノの講殿由紀奈さんと
      ピアノの坂口航大さんのジョイント。
6月24日は テノールの井藤航太さんと
      メゾ・ソプラノの高木未来子さんのジョイントで
      ピアノは武田麻里江さん

と続きます。どうぞお楽しみに。
(一般社団法人 達人の館  代表 橘市郎)

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