一瞬の静寂

音楽・演劇プロデューサー・橘市郎のブログ。日々思ったことを綴っています。 東宝(株)と契約し、1973年にプロデユーサーに。1981年独立後は、企画制作会社アンクルの代表をつとめ、中野サンプラザからの委嘱で「ロック・ミュージカルハムレット」「原宿物語」「イダマンテ」を、会社解散後は「ファンタステイックス」「ブルーストッキング レデイース」などのミュージカルを制作。 2001年京都芸術劇場の初代企画運営室長。

2019年06月

久し振りにフリーの音楽・演劇プロデューサーという立場が新鮮で、
何だか身軽になったような気が致します。
私の年齢を考えると決して楽ではないと思いますが、
かつて市川猿翁からいただいた
「一生現役」という色紙に応えるべく頑張りたいと思います。
改めてよろしくお願い致します。

ソプラノの藤村江李奈さんとバリトンの砂場拓也さんの
ジョイント・コンサートです。
お二人はご夫婦ですが、
以前、下野好子さんが主宰するコンサートで、
息のあった演奏をしていらしたのを思い出します。
びわ湖アンサンブルの一員としてもご活躍していました。
キャリア豊富のお二人がサロン・ライヴで
どんな演奏を聴かせてくれるか、とても楽しみです。
ピアノ伴奏の佐渡春奈さんは
京都造形芸術大学の非常勤講師も勤めていらっしゃいます。

最近、サロン・ライヴが評判になり、
私の知り合いのお客様も大勢予約をして下さいました。
ホールでは味わえないアットホームな雰囲気ながら、
質の高い演奏が気に入ってくれたようです。
これからは同じ建物の中にある京都造形芸術大学にある春秋座とも連携して、
お互いのメリットを探っていくつもりですので、
どうぞよろしくお願い致します。

(音楽・演劇プロデューサー   橘市郎)

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ヴェルディ・サロン・ライヴ 予約・お問い合わせ 
場所 ヴェルディ 
TEL 075‐746 - 4310(ヴェルディ)

突然のお知らせですみません。
上記の通り達人の館を解散することにいたしました。
このブログは今まで通り、音楽・演劇プロデューサーとしての
橘が続けていくのでよろしくお願い致します。
法人解散の理由はやはり私自身の体調が以前通りとは行かないことと、
組織として後継者を養成していなかった事に尽きます。
それに元号が変わり、いろいろなことが新しくなろうとしている今こそ、
一つの区切りをつけるべきだと思ったのです。

幸い今なら人様にご迷惑をかけることはほとんどないでしょう。
自分で責任を負えるうちにけじめを付けて置こう。
それが大きな理由です。
わずか5年間と言う短さで申し訳ないですがお許し下さい。
解散の手続きは司法書士の先生と税理士の先生と
ご相談しながら進めてまいりましたが、
書類の関係でご報告が送れたことをお詫びいたします。
どうぞ、これからもよろしくお付き合いの程をお願い致します。

* 

6月17日は親友の演出家、水谷幹夫さんにご招待していただき、
大阪新歌舞伎座で「松平健・川中美幸特別公演」を見に行って来ました。
今回、水谷さんは珍しく
第2部のスペシャルショーの構成・演出を担当されていました。
水谷幹夫さんといえば最近はほとんどお芝居の演出でしたが、
昔は美空ひばりさんや島倉千恵子さんのショーを演出されていたのでお手の物。
踊りをうまくはさみながらショーアップした演出はさすがでした。
松平さんが派手なラメの衣装で歌い踊る場面は理屈抜きで元気付けられたし、
川中さんの軽妙なおしゃべりと意外な洋舞はさすがでした。

松平さんとも川中さんとも長いお付き合いの水谷さんだからこそ
引き出せる味わいが出ていたように思います。
フィナーレで中村玉緒さんまでが
ギンギラのラメを着ていたのには笑ってしまいました。
とにかく元気が出てくるショーだったように思います。
水谷幹夫さん、これからもショーの演出をどんどんやって下さい!
お陰様で今日は若返ったような気が致します。

(音楽・演劇プロデユーサー   橘市郎)

6月9日のサロン・ライヴはヴァイオリンの冨家聖香さんと
ピアノの西村あゆみさんとのデュオコンサートでした。
西村さんの妹さんと冨家さんは高校の同級生という間柄だそうで、
成程、息のあった心地よいジョイントは
暖かい雰囲気をかもしだしていました。

実は冨家さんはサロン・ライヴ第1回目の記念すべき出演者で、
とても初々しいパフォーマンスは、こちらのライヴにぴったりでした。
その後も何度か出演していただきましたが
いつも好評をいただいていたのです。
しかし、段々と忙しくなり今回は久し振りの登場でした。

リハーサルで彼女の演奏を耳にした時、私は驚きました。
何とヴァイオリンの音色に重厚さを感じたのです。
音色が明らかに深みを増しているではありませんか。
私はお母様に「楽器を変えましたか?」と尋ねましたが、「いいえ」とのこと。
もちろん弾き込んだ楽器のせいもあるかも知れませんが、
明らかに成長の証を感じたのでした。

若い人は何かをきっかけに、がらりと変わってくるものです。
他の出演者の中にもそういった人たちが何人かいます。
それが私などには楽しみなのですね。
この日、本番での出来はお二人とも期待通りのものでした。

西村さんがおっしゃっていたように、
お客様の中には厳しい耳を持ったお客様が
大勢見えていましたが、評価は高かったようです。
冨家さん、西村さんありがとうございました。
これからも小さい空間ながら、
キャリアを積む度に化けていく可能性を生かして
精進していただきたいと思います。

(音楽・演劇プロデユーサー 橘市郎)

私は3年前、この洛西竹の里に引っ越してきました。
40年も前に出来た団地ですが、当時は地下鉄が通ると言うことで注目され、
いろいろと工夫された新しい町づくりがなされたようです。
しかし財政難で地下鉄が開通せず、すっかり寂れていましたが、
ここ数年は、お年寄りの町とはいえ、
桂川駅の開発などで活気を呈してきました。
京都駅から30分というアクセスの良さが大きいようです。
あらゆる物が多少は古くなっていますが、
私自身が78歳という老齢なので贅沢はいえません。

この町の住人には若い頃バリバリと仕事をされていた方が多く、
ラクセーヌという商店街にあるギャラリーでは
毎週のように、絵画や写真、書道などの展示がなされています。
それもびっくりするような優れた作品が多く、
まるで小さな美術館といった感じです。
こういう作品を手掛ける方たちが回りに大勢住まわれていると思うと、
私などは緊張してしまいます。

かつてミラノに行った時、作曲家のヴェルディが建てたという
音楽家の老人ホームをふと思い出しました。
もちろん、プロとして芸術、芸能に携わるのもいいのですが、
80歳近くなってこのような趣味を持つ生き方に感銘を受けたのです。
私がお世話になった造形芸大の通信学部にも、
60代以上の方で芸術作品を生み出している学生さんが大勢いらっしゃいます。
こういうことに注目された造形芸大の創立者、故徳山詔直先生の着想に
改めて敬意を表したいと思います。

「人は何のために生きるのか」

そんな難しい問いの、ひとつのヒントを教えられたのも
洛西竹の里のお陰かもしれません。

(一般社団法人 達人の館 代表 橘市郎)

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