達人の館

   本物の芸をじっくりと味う、大人のためのコンサートを企画・主催しています。

2019年06月

6月9日のサロン・ライヴはヴァイオリンの冨家聖香さんと
ピアノの西村あゆみさんとのデュオコンサートでした。
西村さんの妹さんと冨家さんは高校の同級生という間柄だそうで、
成程、息のあった心地よいジョイントは
暖かい雰囲気をかもしだしていました。

実は冨家さんはサロン・ライヴ第1回目の記念すべき出演者で、
とても初々しいパフォーマンスは、こちらのライヴにぴったりでした。
その後も何度か出演していただきましたが
いつも好評をいただいていたのです。
しかし、段々と忙しくなり今回は久し振りの登場でした。

リハーサルで彼女の演奏を耳にした時、私は驚きました。
何とヴァイオリンの音色に重厚さを感じたのです。
音色が明らかに深みを増しているではありませんか。
私はお母様に「楽器を変えましたか?」と尋ねましたが、「いいえ」とのこと。
もちろん弾き込んだ楽器のせいもあるかも知れませんが、
明らかに成長の証を感じたのでした。

若い人は何かをきっかけに、がらりと変わってくるものです。
他の出演者の中にもそういった人たちが何人かいます。
それが私などには楽しみなのですね。
この日、本番での出来はお二人とも期待通りのものでした。

西村さんがおっしゃっていたように、
お客様の中には厳しい耳を持ったお客様が
大勢見えていましたが、評価は高かったようです。
冨家さん、西村さんありがとうございました。
これからも小さい空間ながら、
キャリアを積む度に化けていく可能性を生かして
精進していただきたいと思います。

(音楽・演劇プロデユーサー 橘市郎)

私は3年前、この洛西竹の里に引っ越してきました。
40年も前に出来た団地ですが、当時は地下鉄が通ると言うことで注目され、
いろいろと工夫された新しい町づくりがなされたようです。
しかし財政難で地下鉄が開通せず、すっかり寂れていましたが、
ここ数年は、お年寄りの町とはいえ、
桂川駅の開発などで活気を呈してきました。
京都駅から30分というアクセスの良さが大きいようです。
あらゆる物が多少は古くなっていますが、
私自身が78歳という老齢なので贅沢はいえません。

この町の住人には若い頃バリバリと仕事をされていた方が多く、
ラクセーヌという商店街にあるギャラリーでは
毎週のように、絵画や写真、書道などの展示がなされています。
それもびっくりするような優れた作品が多く、
まるで小さな美術館といった感じです。
こういう作品を手掛ける方たちが回りに大勢住まわれていると思うと、
私などは緊張してしまいます。

かつてミラノに行った時、作曲家のヴェルディが建てたという
音楽家の老人ホームをふと思い出しました。
もちろん、プロとして芸術、芸能に携わるのもいいのですが、
80歳近くなってこのような趣味を持つ生き方に感銘を受けたのです。
私がお世話になった造形芸大の通信学部にも、
60代以上の方で芸術作品を生み出している学生さんが大勢いらっしゃいます。
こういうことに注目された造形芸大の創立者、故徳山詔直先生の着想に
改めて敬意を表したいと思います。

「人は何のために生きるのか」

そんな難しい問いの、ひとつのヒントを教えられたのも
洛西竹の里のお陰かもしれません。

(一般社団法人 達人の館 代表 橘市郎)

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