一瞬の静寂

音楽・演劇プロデューサー・橘市郎のブログ。日々思ったことを綴っています。 東宝(株)と契約し、1973年にプロデユーサーに。1981年独立後は、企画制作会社アンクルの代表をつとめ、中野サンプラザからの委嘱で「ロック・ミュージカルハムレット」「原宿物語」「イダマンテ」を、会社解散後は「ファンタステイックス」「ブルーストッキング レデイース」などのミュージカルを制作。 2001年京都芸術劇場の初代企画運営室長。

2019年07月

721(日)は選挙、ライヴ、競馬、
大相撲千秋楽、祇園祭などが重なり忙しい1日でした。
中でも選挙の結果、改憲勢力が3分の2を越えるかどうか、
野党がどのくらい議席を獲得するかが焦点の1日でした。
結果はかろうじて改憲が阻止され、野党はわずかながら票を伸ばしました。

しかし投票率は50パーセントを切り、戦後2番目の低さだったようです。
もちろん中には自分の信念のもと投票に行かなかった人もいることでしょう。
それはさておいて、棄権した方が半数以上いるというのは
残念というしかありません。
「どうせ投票しても世の中は変わらないよ」とか
「もっと大切なことがあって忙しいんだよ」という理由で
投票に行かないとしたら悲しいですね。

良く「歴史は繰返す」とか「奢れる者久しからず」とか言いますが、
先人が身にしみて漏らした言葉はかみしめて物事を考えたいものです。
秋には衆議院選挙もあるかも知れません。
オリンピックに熱くなるのは当然ですが政局にも目を光らせましょう。


                   *

おめでたいご報告を一つ。
ヴェルディ・サロン・ライヴでお馴染みの
テノール歌手の井藤航太さんが
東京で行われた由緒ある声楽コンクールで優勝し、
合わせて五十嵐喜芳特別賞も受賞いたしました。
井藤さんはこの921()春秋座で行われる
「春秋座オペラ10周年記念ガラ・コンサート」
に出演することになっており、まさに凱旋致します。
先輩の一流歌手との競演をぜひ聴いてあげてください。

(音楽・演劇プロデューサー  橘市郎)

ジャニーさんが亡くなられたニュースが連日伝えられ、
その業績が大きく取り上げられています。
本当にいい仕事をされ、日本の芸能界に大きな貢献をされた
偉大なプロデューサーだった思います。

私もミュージカル「グリース」であおい輝彦さん、
「原宿物語」で野村義男さん、
「イダマンテ」で近藤真彦さんを出演させていただき大変お世話になりました。
しかし、そもそもジャニーさんは
私が東宝の日劇で演出補佐をしていた頃からの仕事仲間でした。
ジャニーさんは演出家の松尾准光さんとの親交が深く、
よく麻雀に誘われ鴨にされていたことが思い出されます。
そんな時でもジャニーさんは、さばさばとされていたのが印象的でした。

その頃はジャニーさんも不遇で、
新人のベビーギャングスというタレントを
ウエスタン・カーニバルに出演させるのに懸命でした。
私はその頃、東京の足立区にある団地に住んでいましたが、
売り込みのために自分の運転する車に私を乗せて、
自宅まで送ってくれるほど熱心だったことが思い出されます。

ジャニーズ事務所が大きくなってからは、
チケットが取りにくい売れっ子のコンサートのチケットを取ってもらう
お願いをするくらいのお付き合いになりましたが、
そんな時にはいつも善処してくれたものでした。

ジャニーさんは男性の美しさは
少年のしなやかな肉体にこそ宿っていると信じていたのです。
贅肉の無いスリムで研ぎ澄まされた身体にこそ永遠の魅力があると見たのです。
そういえば中年太りという言葉があるように、
人はだんだんと節制の無い生活に陥って行きますね。
私などはその罰を受け病気になってしまったと言えるかもしれません。
ジャニーさん、あなたは自分の審美眼を信じ切り、
自らも実践してきた方です。

改めてあなたの生き方に敬意を表したいと思います。
今、私は何も出来ませんが、
あなたの「一生現役」だった人生を見習う積もりです。
どうぞ安らかにお眠り下さい。

(音楽・演劇プロデューサー 橘市郎)

2週間後には選挙の結果が出ますね。
今は世界情勢がきな臭く、不安定な毎日が続いています。
明日がどうなるか分からない中で、
何とか日本が戦争だけはしない国であることを示したいものです。

思えば日本が第2次世界大戦で敗れた時、
2度と戦争はしないと誓ったことが思い出されます。
あれから約75年が経ち、敗戦を知らない人々は、
日本を再び戦争の出来る国にしようと目論でいます。
「のど元過ぎれば熱さ忘れる」ではありませんが、
何と情けないことでしょう。

「何があっても戦争だけはしてはいけない」と
強く反省した人々が少なくなったからでしょうか?
自分の子供や孫たちを守るためにも
老人は選挙を棄権するような事をしてはいけないと思います。
無関心が世界を滅ぼすことを心に留めたいこの2週間です。

 * 

毎日、勤務先に通わなくて良くなった今日この頃、
棚や押入れにある膨大なレコードやCDを聴き始めています。
どうせほんの部しか聴けないと思いながら、
何ともったいないことをしたものだろうと反省しています。
名歌手であった人々の演奏を聴いていると、
当時、会場で感銘を受けた時のことが蘇ってきます。
NHKが招聘してくれたイタリア歌劇団の錚々たたる人々、
マリオ・デル・モナコ、フェルチョ・タリアヴィーニ、
レナータ・テヴァルディ、シミオナート、タッディなど、
挙げたら切りがない名歌手たちの生の声。

学生時代の遠い思い出とはいえ、決して消えることは無いでしょう。
今になって思い出に耽るのは余り望ましいことではないと思いますが、
逆に言うとやっと冷静に価値観を取り戻したと言えるかもしれません。
ただただ新しいものを追いかけるのではなく、
本当に人を感動させるものをもう一度見つめ直したいと思います。

「本物はいつになっても本物」

それは真実ですね。 

(音楽・演劇プロデューサー 橘市郎)

G20大阪サミット期間中の警戒は大変なものでしたね。
幸いなことに大した混乱も無く、無事終了したことは
何はともあれ良かったと思います。
安倍首相はホストとしてこの上ない栄誉に浴しご満悦でした。
こんな機会はめったにあることではないでしょう。
しかしこの歓待に使われた費用は大変なものと思われます。
これらの経費は全て国民の血税が使われたことを
謙虚に感じて頂きたいと思います。

大阪市民の皆さんがどれだけこの会議のために
不便を我慢して協力してくれたかしれません。
交通規制に関しても、警備上に関しても
日本人は本当に協力的だったと思います。
警察はこの事について感謝を述べていました。
しかし安倍首相からは庶民に感謝を示す言葉は何もありませんでした。

このイベントが無事終えられたのには、
どれだけ国民の協力があったからということが
無視されていたように思います。
安倍首相一人がこの会議を仕切っていたかのような態度が
透けて見えたのは私だけでしょうか?
まるで自分自身が身銭を切って歓待したような気分に
なってはいなかったでしょうか。

私はこの歓待にどれだけの費用がかかったのかは分かりませんが、
少なくとも国民の負担が大きかったことは確かです。
国民の協力あって、これだけの歓迎が出来たと思って欲しかったです。
これは正しく人徳の問題ですね。

 * 

630(日)のサロン・ライヴは
ソプラノの藤村江李奈さん、
バリトンの砂場拓也さんのジョイントコンサート。
ピアノ伴奏は佐渡春菜さんでした。

さすが歌のお二人はご夫婦だけあって息がぴったり。
声の質もハイ・バリトンとレジェーロ・ソプラノという
相性の良さが随所に出ていました。
1部はドイツ歌曲やフランス歌曲といった硬めのプログラムでしたが、
2部は「魔笛」のアリアと2重唱、
そしてアンコールではレハールの「メリー・ウイドー」と
親しみやすい曲を披露。
さすが一流の歌手は違うといった心地よい響きで
お客様を楽しませてくれました。

お二人はこれからメジャーなオペラに出演されるようで、
その成果が期待されます。
いずれ春秋座にもぜひ出演して頂きたいと思います。

(音楽・演劇プロデューサー  橘市郎)

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