音楽評論家、黒田恭一さんをご記憶の方も多いと思いますが
、黒田さんがお亡くなりになってから今年で10年になります。
11月19日(火)には東京の王子ホールで
「黒田さんの思い出を語る会」が行われます。
あいにく以前から決まっていた仕事とぶつかり上京出来ず申し訳なく、
奥様にお手紙を出したところです。
黒田さんは早稲田大学の先輩でしたが
演劇専修ではなかったので初めはご縁がありませんでした。
黒田さんを紹介してくれたのは当時NHKに務めていらした演劇専修の先輩、
千代田昌弘さんでしたが初めてお会いした時から「オペラ好き」が伝わり、
何かとお手伝いさせていただくようになりました。
翻訳、原稿書きといった学生にはもったい無い仕事を
いくつか回していただいたのです。
卒業公演のオペラ「イドメネオ」は、黒田さんが薦めてくれた演目でしたし、
訳詩もギャラ無しで引き受けてくれました。
私が東宝の演劇部に就職してからは、良く日劇にも来てくださいましたし、
時々音楽会の会場でお目にかかりお話しの機会はあったものの、
仕事でのお付き合いは直接無かったように記憶しています。
でも、あの穏やかな人柄はいつも私の尊敬する先輩の一人でありました。
若い時に黒田さんに教えられたことは一生心に残っていくことでしょう。
ここのところ昔の名歌手のレコードやCDを聴きまくっていますが、
その度に黒田さんの文章や話し声が目と耳を通して蘇ってきます。
黒田さん、ありがとうございました。
「思い出を語る会」には出席できませんが、
あなたのことはいつも忘れませんからね。
(音楽・演劇プロデューサー 橘市郎)