一瞬の静寂

音楽・演劇プロデューサー・橘市郎のブログ。日々思ったことを綴っています。 東宝(株)と契約し、1973年にプロデユーサーに。1981年独立後は、企画制作会社アンクルの代表をつとめ、中野サンプラザからの委嘱で「ロック・ミュージカルハムレット」「原宿物語」「イダマンテ」を、会社解散後は「ファンタステイックス」「ブルーストッキング レデイース」などのミュージカルを制作。 2001年京都芸術劇場の初代企画運営室長。

2020年02月

連日テレビや新聞で新型コロナウイルスに関することが報道されています。
確かに世界中に拡大する感染は今までに経験されたことの無いほどの事件で、
誰が被害にあっても不思議でない脅威といえます。
まさにこのピンチを如何に乗り越えるかは、
オーヴァーに言えば人類の叡智が試されていると言っていいでしょう。

自国の利益のみを考えることに対する戒めなのです。
こうしたピンチを乗り越え世界中が仲良くなれたらいいな
と思うのは私だけではないと思います。
「災い転じて福となる」が実現することを信じたいですね。
「冬来たりなば春遠からじ」と言う言葉もあります。
希望を抱いて毎日を過ごしたいものです。

押入れを整理していたら、1枚のLPが出てきました。
「青春の落書き」という若い女性デュオのもの。
「私はウエイトレス」「チキチキに乗って」などが入っている
「ピコ」のレコードでした。
「ピコ」と言ってご存知の方がいらっしゃるかどうか分かりませんが、
彼女らはデビュー間もない頃、私がやっていた「アンクル」という事務所のタレントでした。
私の力足らずでほとんど力になれなかったことを大変申し訳なく思っています。
今では何処でどうされているかも分からないのですが、作詞・作曲もする有能な二人でした。

当時まだ新進のシガー・ソングライター松山千春さんが
彼女たちに曲を提供していたほどだったのです。
私は改めてこのアルバムを聴いて今でもその才能は素晴らしかったと思っています。
そしてアーチストが売れるかどうかが紙一重であることに愕然とするのです。
ピコのお二人、力足らずだった私を許して下さい。
今頃お二人はどうしているのかな?
消息をご存知の方がいらしたらぜひ教えて下さい。

(音楽・演劇プロデューサー   橘市郎)

このブログは5年前に開設しましたが、
昨年「一般社団法人 達人の館」を解散した後も「達人の館」のままでした。
解散の経緯報告をしたのと「一般社団法人」を
うたっていないのでいいかと思っていましたが、
税理士さんのご指摘もあり、誤解されるといけませんので、
これからは「一瞬の静寂」とすることに致しました。
内容は今までと少しも変わりませんのでご理解いただきたいと思います。
個人プロデューサーの繰言ではありますが、
今後もお付き合いいただけましたらうれしいです。                       

*

2月14日は日本文化藝術財団の「創造する伝統賞」の授賞式に出席するために
東京の明治記念館に行って来ました。
今回は能声楽家 青木涼子さんと竹芸作家4代目田辺竹雲斎さんが受賞されましたが
私は職業柄、特に青木さんがヨーロッパで活躍されている映像に興味がありました。
彼女はいろいろな方とコラボレーションされていますが、
ソプラノ歌手と共演された細川俊夫作曲「二人静-海から来た少女」は
なかなか面白いものでした。
しかし、これが演奏会として一般の観客に
どの程度愛されるかということになると難しいかもしれません。
もちろん彼女の演奏はエンターテイメントというよりも実験的な試みだと思います。
新しいものが生れてくる課程と思えば貴重な挑戦です。
今後も研究者として刺激的な活躍をされていく青木さんに期待したいものです。

*

私は最近、約束の時間よりも30分程早く行くようになってしまいました。
もちろんまだ完全な健康体になっていない為もありますが、
全てのものに焦りがあるような気がして家内にもよく注意されます
歳をとると気が短くなるといいますが、これもそのせいでしょうか?
でも気長に待つのは平気なのですから不思議ですね。
要はいろいろな事が心配なのでしょう。
「大丈夫!」と自信満々に振舞えるのも若者の特権かもしれません。
出来るだけ若い人と付き合うようにしたいものです。

(音楽・演劇プロデューサー  橘市郎)

 

「自国第1主義」を叫ぶ大統領がいる一方、
世界全体がウイルスの感染拡大に慄いています。
世の中が便利になって地球が小さく感じられるようになり、
今までだったら「対岸の火事」のように眺めていた事が
自らに影響してきたと言っていいでしょう。
そう、もはや世界全体のことを考えないといけない時代に入ったのです。
各国が自分の国さえ良ければいいと思っていると、
火の粉が自分の国にも降ってくるのです。
賢明で、良心ある若い人たちの中にはこうした事態を危惧している人もいます。
「災い転じて福となる」という諺があるように、
ウイルスの拡大を防ごうとすることで
世界が協力し合うようになるといいですね。

未だに自国のことばかり考えている指導者から、
世界全体のことを思う救世者が出て来て欲しいものです。
でもそういう人の出現を待望する自分の無力さを考えると、
「言うだけなら誰にでもいえるよ」と罵られそうです。
偉そうな事は言いませんが
「いろいろなことが地球全体に影響を及ぼす時代になった」
ことは確かなようです。
「井の中の蛙」にならないよう、
視野を広くしたいと今更のように思います。

                    *


2月9日の大相撲トーナメント大会で、白鵬と炎鵬の対戦が実現しました。
本場所ではないとは言うものの館内は大いに沸いたようです。
結果は横綱が甘くみたのか炎鵬の見事な下手投げに横転しました。
多分に観客を喜ばそうとする演出にも見えるほどきれいに決まったのです。
でも私はこんなに鮮やかな投げは久しぶりに見たような気が致します。
炎鵬は身体も一回り大きくなったし、
春場所も予想以上に活躍してくれることでしょう。
体の小さい力士が大きな力士を下す魅力は格別ですね。
1戦1戦が楽しみな春場所ももう直ぐです。
(音楽・演劇プロデューサー   橘市郎)

2月2日に春秋座で高校演劇を見てきました。
この企画は春秋座がオープンした2000年からずっと続いている企画で、
私の思い入れが強いものの一つです。
大学としては利益を度外視した企画とはいえ、
毎年負担をかけ申し訳なく思っていました。

第1回は1階の客席も半分くらいしか埋まらず寂しいものでした。
少しづつ内容も充実し、その知名度も増してきたとはいえ
2階席までお客様が入ることは無かったのです。
ところが今年は2階席もほぼ完売と言う情報が入ってきました。
確かに今年は、常連の大谷高等学校が優秀賞、
地元京都の洛星高等学校が最優秀賞に選ばれたということもあったでしょう。
アニメブームに乗ってチラシのデザインを学生から公募したこともあったでしょう。
しかし、根本的にはスタッフが若返ったことが大きかったと思います。
おじさんが頭で考えたことを実感として取り組んでくれた結果なのです。

客席の熱気は大変なもので、私は夢を見ているようでした。
舞台も春秋座の舞台機構を存分に使い充実していましたが、
私は今ひとつ若い人たちが笑っている内容について行けず、 挫折感を味わっていました。
でもこれは世代間のギャップで仕方の無いことと思いました。
これからは若い人たちが「演じる高校生」を大いに盛り上げていって欲しいものです。



2月3日は節分。今年もあちこちで「福は内!鬼は外!」の声が聞こえてきます。
我が家でも長い間この習慣を何も考えずに実行していました。
しかし今年になって、これはどこかトランプさんの
「自国第1」を叫ぶ掛け声に似ていると思うようになりました。
「我らが幸せなら他はどうでもいい」と言っているように思えたのです。
もちろん、そんなことは無いでしょうが、
人は誰も幸せと不幸の両方に出会うものです。
そのどちらに出会ってもめげずにそれを乗り越えていくように
前向きに努力していくことが必要なのです。

パラリンピックの選手達が前向きに人生を見つめて
挑戦されていることに 感動を覚えない人はいないでしょう。
幸福も不幸もともに訪れておかしくない現実に
一生懸命対応していくことこそ大切なような気が致します。

 「富める人も、貧しい人も
お互いに尊敬しあう世の中になって 争うことがなくなるといいな」

と思う反面、そうなったら優勝も昇進も無くなってしまうぞ!
と慌てふためく自分。
結局人間って我欲が強い生き物なんですね。
誰も美味しいものを食べ、美しいものを着て、快適な家に住みたいのですから。
適当に。程ほどに。中庸に。平凡にと思うなんて、私も年を取ったものですねえ!!

(音楽・演劇プロデューサー   橘市郎)

↑このページのトップヘ