少年時代、私は野球少年でした。音楽には余り興味がなかったような気が致します。
それが中学生になった頃から先輩に少しづつ刺激を受けるようになり、高校生になった時、新島弘先生と出会い一気に音楽愛好家になって行ったのです。
しかし私には、少し歌は唄うものの自分が声楽家になる気持ちは全くありませんでした。自分にはそんな才能はなっかたし、家の事情がそんな環境でもありませんでした。
ただ新島先生が、ピアニストのホロビッツに傾倒し、いつも緑色の服を着てその素晴らしさを語る姿に、音楽の力を感じたのは確かです。自分は演奏家にはなれないけれど、音楽に関わる仕事に就きたいと決心させてくれたのが新島先生だったのです。
今、沢山のCDやレコードを楽しめるのも先生のお陰だし、プロデューサーとして仕事が出来るのも先生との出会いが大きかったと思っています。もちろん、いろいろな方との出会いに助けられてきたのは事実ですがきっかけという意味で、新島先生の存在を忘れるわけにはいきません。それにしても、いい先生とはこわい人でも偉ぶる人でもないようですね。
新島先生、今頃は天国でホロビッツと仲良くされていますか?
少し首を傾け上目使いで話される姿が忘れられません。
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自宅での待機が少しずつ効果を発揮してきているようです。
悪知恵を働かせて儲けようとしている良からぬ人もいますが、多くの人が思いやりを示し、励ましあっている姿を見ると、人はもともと優しいのだと心洗われます。
そこで、新型コロナウイルスも一方的に敵と思わず、何とか共生できないものかと思います。100パーセント敵と考えず、彼らも生きようと懸命なのだから、少しは生かしておいてやろうという考えかたです。これが免疫療法になるのでしょうか?
医学に関しては全く素人ですが、菌を全滅させようとするのではなく、耐性を作る方法は無いものだろうかと思うのです。トランプさんのように「自分たちだけが良ければいい」ではなく「相手のことも立ててあげる」という考えのもと共存共栄を考えることは、この地球上に生きとし生きるものの知恵と思うのですが。
(音楽・演劇プロデューサー 橘市郎)