一瞬の静寂

音楽・演劇プロデューサー・橘市郎のブログ。日々思ったことを綴っています。 東宝(株)と契約し、1973年にプロデユーサーに。1981年独立後は、企画制作会社アンクルの代表をつとめ、中野サンプラザからの委嘱で「ロック・ミュージカルハムレット」「原宿物語」「イダマンテ」を、会社解散後は「ファンタステイックス」「ブルーストッキング レデイース」などのミュージカルを制作。 2001年京都芸術劇場の初代企画運営室長。

カテゴリ: プロデューサーより

9月21日は天気予報だと雨だったのに1日中曇りでした。
表記のコンサートに味方してくれたのかもしれません。
お客さまの入りがいまいちで出演者の皆さんには申し訳なかったのですが
すばらしい演奏が続き盛り上がりました。

松山郁雄さんの構成と司会ぶりは
オーソドックスなガラコンサートとは異なり、
初めての方にも楽しんでいただけるよう工夫されていたので、
当然、厳しいご意見も出てくるでしょうが、画期的なものでした。
1曲ずつ長い拍手をいただくかわりに、
スピーディーに進行して流れを作っていく演出は斬新で、
賛否両論があると思いますが、
出演の皆さんも新しい試みにしっかり協力していただいていました。

「年末に行われるNHK紅白歌合戦を見ているようで楽しかった」
と言ってくださったお客様の言葉が印象的でした。
それにしても、演奏に入るとハイレベルな歌声の連続で、
よくこんなオペラ歌手が集まってくれたものだと
感謝せずにはいられませんでした。

10年という長い間、これだけの皆様に
出演していただいたと思うと涙が出そうになりました。
私は今後、アドヴァイザーとして協力させていただき、
若い世代の方たちが思う方向に舵を切っていただくつもりです。
どうぞ今後とも春秋座オペラが発展していくよう、ご支援をお願い致します。

改めて松山郁雄さん、指揮の奥村哲也さん、
出演者の皆様、スタッフの皆様、それにお客様にお礼申し上げます。
ありがとうございました。 

*

話は変わりますが、大相撲が22日に千秋楽を向かえ、
関脇・御嶽海が優勝しました。
横綱不在で寂しい場所でしたが
誰が優勝するか予想もつかない混沌とした状況は結構楽しめました。
小兵力士炎鵬の活躍や明生、朝乃山といった
将来を期待される力士が場所を盛り上げてくれました。
もちろん最後まで優勝を争った貴景勝の復活や阿炎、
遠藤の存在も忘れられません。
横綱が安定しているのはいいことですが、
混沌としている世界も楽しめますね。

それにして場所が終わってすぐ巡業が始まったり、
年6もの場所は力士にとってハード過ぎます。
有望力士を潰さないためにも、
もう少し考えてあげないといけないのではないでしょうか。

(音楽・演劇プロデューサー 橘市郎)


春秋座オペラ公演は11月34日に本番を迎へ、無事終了いたしました。
前回のブログで舞台稽古が始まるとお伝えしたのに、
あっという間に公演が終了した感じです。
連日通っていた劇場ともお別れと思うと、一抹の寂しさを感じます。
稽古期間が長ければ長いほど、
一緒に苦労して来た仲間と別れることは辛いものです。
まるで身体全体が抜け殻のようになっているのは、
私ばかりではないと思います。
今日はもうゆっくり出来るという開放感と共に、
あの仲間たちは今どうしているだろうと考えたりしています。

*

公演は斬新で音楽的なレベルも高いものでした。
プッチーニの叙情的なメロディーが、今も耳に響いています。
蝶々さんの可憐で、哀しい姿が目に焼きついています。
川越塔子さんと藤井泰子さんのタイトルロールは
それぞれの持ち味を発揮して圧巻でした。

井藤航太さんの若々しい歌声、
ピサピアさんのイタリア人特有の高音、
それに刺激されるようにどのキャストも素晴らしい歌声を披露してくれました。

演出も装置も照明も春秋座の舞台を効果的に見せてくれました。
指揮も手堅く、全体を仕切ってくれた
ミラマーレ・オペラの統率は完璧だったと思います。

もちろん劇場側のスタッフも良くやってくれました。
今回は私が病み上がりで色々とご迷惑をかけましたが、
皆様に助けられた感じです。

*

アンケートの結果も大変、お褒めをいただいたようです。
遠方からのお客様をはじめ京都のお客様、
今後とも春秋座オペラをどうぞよろしくお願い致します。
関係者の皆様、長丁場をお疲れ様でした。

(一般社団法人  達人の館  代表 橘市郎)


今週は歌劇「蝶々夫人」の春秋座での稽古が10時から21時まであり、
1時間半の通いの時間を考えるとブログを書いているゆとりがありません。
若い人たちはパソコンを持ち歩き、
少しの時間でもキイボードに向かっていますが、
私にはそういった器用さがないのです。
ゆっくりと机に向かっていないと物が書けないと言うのは、
この時代には通用しないかもしれませんね。
不定期になりますがお許しください。

さて、そのオペラですが、大阪での稽古が終わり、
いよいよ皆さんが春秋座に集結しました。
懐かしい顔がだんだん増えてきて、初日が近くなった緊迫感が漂っています。
お陰様で順調に仕上がっていく課程が見えて来ました。
合唱、オーケストラ、スタッフが顔を合わせる劇場での稽古は、
いよいよ開幕が近いことを思わせます。
無事初日が開き、お客さまの温かい拍手が
沢山いただけるような成果を上げなければと、
改めて見の引き締まる思いをしています。


1031日には、中央競馬のイタリア人騎手・デムーロさん兄弟が
オケ合わせを見学し、劇場の機構も見てくれました。
これは共催のイタリア文化会館ー大阪を通じての事だったようです。
もちろん、タイトルロールの藤井泰子さんや
ピサピアさんが出演されるためですが、
藤井さんのイタリアのお宅と
デムーロさんの実家が近かったこともあったようです。
思わぬ訪問にキャストもスタッフも盛り上がりました。
もしかすると私が一番喜んだかも知れません。
それにしても「競馬とオペラ」は私の大好きな2つだけに、
何かいい事の前兆のような気がしております。
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(一般社団法人 達人の館 代表 橘市郎)

テノールの井藤航太さんが「蝶々夫人」の
ピンカートン役を演じることは前にお知らせしました。
素晴らしいこととはいえ、彼がオーディションから勝ち得た役だけに、
一抹の不安があったのも事実です。

そこで彼の素質をさらに生かすために、
これから誰に就いて勉強してもらったらいいかを考えました。
かつての名テノール五十嵐喜芳先生のお嬢さんであり、
今をときめくテノール歌手・笛田博昭さん育ての親、
五十嵐麻利江さんに相談したところ、
すぐに彼の声を聴いてくれることになりました。

彼女は以前から私の知り合いであり、昭和音大の先生でもあったのです。
彼女は井藤さんの声を聴くや否や、すぐに訓練を引き受けてくれました。
井藤さんも麻利江さんの教え方を知るや否や、
喜び勇んで彼女について勉強することを決心したようです。

*

井藤さんは住まいを東京に移し、ただ今猛勉強中。
笛田さんの声を聴きながら、一緒に訓練を受けているようです。
彼が本番でどのように変わってくるか、とても楽しみです。
人は人生の上で誰と出逢うかによって、変わってきます。
麻利江先生の情報によれば、井藤さんは日々上達しているようです。
井藤さんを応援してくださっている皆さん、
11月を楽しみにしていてくださいね。

井藤さんは24(日)には、藤原歌劇団のホープ、
メゾ・ソプラノの高橋未来子さんと
ヴェルディ・サロン・ライヴで二重唱をしてくれます。
どうぞご期待ください。

*

ヴェルディ・サロン・ライヴといえば、6月3日()
久々に講殿由紀奈(ソプラノ)さんとピアノの坂口航大さんのジョイントです。
息の合った歌とピアノの共演です。
二人とも京都が期待する大物だけに楽しみなコンサートです。

中田喜直の作品やリストの超絶技巧練習曲第8番「狩り」も聴けます。
大勢のお客さまのご来場をお待ち申し上げます。
私も徐々に体調が戻ってまいりました。
来週は世の中の情勢などにも触れてみたいと思います。

(一般社団法人  達人の館   代表 橘市郎)

11日に行われた「ホキ徳田の部屋」は残念ながら集客が上手くいかず、
ホキさんやお集まりいただいたお客様に寂しい思いをさせてしまいました。
若くしてアメリカに渡ってしまったホキさんのことを知っているのは、
75歳以上の方に限られること。
また、京都の人たちは初物に冷たい傾向があること。
この二つから、かなりの苦戦を覚悟していたのですが、
結果は想像以上に厳しいものでした。

しかもB型インフルエンザの流行、
冬季オリンピック開催などが重なったことも影響したようです。
でも、ホキさんは客席に向かうなり「私って人気ないのね」と
明るく、飄々と語りかけ、一瞬にしてお客様をひきつけてしまいました。

進行と弾き語りを披露してくれた古賀久士さんは、
ホキさんのお孫さんのような存在ながら、
ピアノと歌の実力は卓越したものを持っていて、
カウンター・テナーのような歌唱は迫力満点でした。
ホキさんがトークで笑わせた後、
電子ピアノの前に立って弾き語りを始めると、空気が一変します。
アドリブ風の早弾きと自在な歌唱。
そして、その声の若々しく、艶やかなこと。
84歳にしてどうして、ああも指が動くのか、全くミスタッチがないんです。

私はトークの時と演奏の時のギャップに感動してしまいました。
名人芸というものを目の当たりにしたように思いました。
演奏が終わるとホキさんと古賀さんはロビーに出て
ヘンリー・ミラーが描いたという絵葉書をプレゼントし、
そこにサインをすることをしてくれました。
皆さんお二人の演奏には満足してくださったようです。
お客さまの数ではなく、その満足感が伝わってくるのが何よりでした。

ホキさん!客席をいっぱいに出来なくてすみませんでした。
このリベンジはぜひ実現したいです。
あなたこそは「達人の館」に相応しいジャズの弾き語り名人だからです。
また、ホキ徳田さんをご紹介いただいた
インターナショナル・カルチャーの松野正義社長にも
またご相談したいと思っています。

(一般社団法人 達人の館  代表 橘市郎)

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