達人の館

   本物の芸をじっくりと味う、大人のためのコンサートを企画・主催しています。

カテゴリ: エッセイ

私は3年前、この洛西竹の里に引っ越してきました。
40年も前に出来た団地ですが、当時は地下鉄が通ると言うことで注目され、
いろいろと工夫された新しい町づくりがなされたようです。
しかし財政難で地下鉄が開通せず、すっかり寂れていましたが、
ここ数年は、お年寄りの町とはいえ、
桂川駅の開発などで活気を呈してきました。
京都駅から30分というアクセスの良さが大きいようです。
あらゆる物が多少は古くなっていますが、
私自身が78歳という老齢なので贅沢はいえません。

この町の住人には若い頃バリバリと仕事をされていた方が多く、
ラクセーヌという商店街にあるギャラリーでは
毎週のように、絵画や写真、書道などの展示がなされています。
それもびっくりするような優れた作品が多く、
まるで小さな美術館といった感じです。
こういう作品を手掛ける方たちが回りに大勢住まわれていると思うと、
私などは緊張してしまいます。

かつてミラノに行った時、作曲家のヴェルディが建てたという
音楽家の老人ホームをふと思い出しました。
もちろん、プロとして芸術、芸能に携わるのもいいのですが、
80歳近くなってこのような趣味を持つ生き方に感銘を受けたのです。
私がお世話になった造形芸大の通信学部にも、
60代以上の方で芸術作品を生み出している学生さんが大勢いらっしゃいます。
こういうことに注目された造形芸大の創立者、故徳山詔直先生の着想に
改めて敬意を表したいと思います。

「人は何のために生きるのか」

そんな難しい問いの、ひとつのヒントを教えられたのも
洛西竹の里のお陰かもしれません。

(一般社団法人 達人の館 代表 橘市郎)

今週はトランプ大統領の来日のほか、
大相撲の千秋楽、中央競馬のダービーなどいろいろと話題が豊富でしたが、
ここでは春秋座の京舞と狂言のコラボと
ヴェルディ・サロン・ライヴの感想を述べておきたいと思います。

5月25日(土)は造形芸大の企画運営室の川原美保さんからお電話をいただき、
春秋座公演にご招待されました。
大学を退任しても声をかけてくださりうれしかったです。
出演の井上安寿子さんも茂山忠三郎さんも、
私が着任した時、造形芸大の学生であったことが何よりも驚きでした。
時代が変わった実感がふつふつと沸いてきたのです。
しかもお二人は実に立派でした。
安寿子さんはお母様の八千代先生から譲り受けた
京舞の隙のない端正さを見せていたし、
忠三郎さんは歯切れの良い口跡が
お父様以上ともいえる見事なものでした。
さすがに「蛙の子は蛙の子」ですね。

ことに忠三郎さんは学生時代、ミュージカル研究会の合宿で、
ミュージカル「ファンタステイックス」の台本を使った
私の講習を受けてくれたことがあり、
その変貌振りにびっくりいたしました。
お二人の公演は3回シリーズだそうで、
この次も楽しみにしていたいと思います。

*

5月26日(日)はサロン・ライヴでオペラで
「椿姫」のハイライトが披露されました。
実は私自身、いつものライヴと思っておりましたので、
ソプラノ、テノール、バリトン3人の歌手とピ
アノの伴奏者が来てくれるものと思っていました。
ところが当日になると他にお二人の共演者が加わり、
ソファーの注文などもあるではありませんか。
ご存知の通り劇場と違い、楽屋も狭いし小道具の備えもないので、
最初は私もちょっと不機嫌でしたが、
オーナーがいろいろ工夫してくれたり、
出演者も悪条件に妥協してくれて何とか本番を迎えました。

ところが本番になると歌のレベルも演技の質も素晴らしく、
お客様も大変満足して下さいました。
「この料金でこれほどサービスしてもらっていいの?」とも云われました。
私も現金な物ですっかり楽しませてもらいました。
「ビジネスで無く、より良いものを!」
と言う出演者の情熱が見えた一夜でした。
皆さん素敵なライヴをありがとうございました。
でも連絡だけは、これからは密に取りましょうね。
(一般社団法人 達人の館  代表 橘市郎)

いろろいろな事が日々起こっている今日この頃ですが、
本日は新聞広告に関して感想を述べたいと思います。
私は東京に住んでいる時から長い間、朝日新聞を取っていますが、
近頃、新聞広告が巨大化してきたのに驚いています。
何十年か前は新聞の全面広告はめったに見られなかったと思いますが、
最近は毎日のように大きな広告が目に付きます。
それだけ紙面が増えたからでしょうか?
新聞社も経営していくには膨大な資金がいることは確かだとは思います。
でも本当の使命は報道であり、広告媒体ではないと思ってきました。

限られた紙面で、如何に大事なニュースを公明正大に分かりやすく伝えるか、
あるいは新聞社としての見識を如何に説得力をもって述べるかが
問われていたような気が致します。
しかし最近では、記事よりも広告の方が
多くの紙面に割かれているのが現実です。
新聞社も企業としてある程度利益を上げないことには、
やって行けないのは分かりますが、
余りビジネスに重心を置き過ぎると
言いたい事も云えなくなるのではないでしょうか。

新聞はあくまでも報道第一、
客観的で公平な意見を持つことが問われています。
新聞の紙面が巨大な広告で占められていく傾向は、
決していい方向とは思えません。
ネットやテレビの世界に脅かされている新聞業界の厳しさは良く分かりますが、
ぜひ一考して欲しいと思います。
今日は少し堅すぎる内容ですみません。

(一般社団法人 達人の館 代表 橘市郎)

5月12日のヴェルディ・サロン・ライヴは
松村裕絵さんと中嶋みのりさんの2本のフルート。
ピアノ伴奏は竹田景子さんでした。
美しい2本のフルートは想像以上に音質が声に似ていて、
ソプラノの重唱を思わせるものでした。

お二人の息の合った演奏はレベルが高く、
お客様からも大変評価の高い賛辞をいただきました。
演奏家の評価はコンサートやCDの数で決められることも多いようですが、
こういう場所での成果も貴重だと思いました。
お客様が素直に感動してくださる
小さな演奏会をこれからも続けたいものです。

それにしても近頃、音楽ホールでの料金が高すぎるとは思いませんか?
数万円を超えるものが当然の如く溢れている現状は決して健全とは言えません。
そもそも感動させてくれるものは金額でも、
入れ物でもないことを実証したいものです。

*

5月12日は母の日でもありました。
日頃、娘たちに迷惑をかけてばかりいる私ですが、
今日は家内に対しプレゼントのお菓子を送ってくれました。
結構、昔は手を焼いた3人娘でしたが、
今になってみると3人が仲が良く、
親のことを何かと思ってくれているのがうれしいです。
東京と京都と離れていてなかなか会えませんが、
これも私の仕事のせいで娘たちには申し訳なく思っています。
それでも、娘たちは娘たちで各々家庭をもって
幸せに暮らしているので、感謝しないといけないですね。
昔は男の子供がいないのを嘆いていたものですが、
今では3人娘で良かったと思っています。
何はともあれ3人娘が仲良く
しょっちゅう会っている様子が伺えるのが一番うれしいです。

(一般社団法人 達人の館 代表 橘市郎)

10連休最終日の日、稲盛ホールに
「レ・フレール」のコンサートを聴きに行って来ました。
コンサートといっても通常のレ・フレールのコンサートとは違って
幼児のための企画で、時間も休憩なしの部構成。
短めにまとめた他、客席にもくつろぎスペースを設けるなど工夫していました。
いつも以上に映像やスライドを多用していたのも
幼児を飽きさせない親心でした。

ちょうど年前、私が入院した時に回目が行われ、
今年が回目の企画だったこともあり、
ポラリスアルファの伊藤和則さんが招待してくれたのです。
レ・フレールのお二人は客席が幼児であれ
決して手を抜かない熱演で、会場を盛り上げました。

汗びっしょりで高度な演奏をする姿は、
いつしか親子の手拍子を誘い、通常と同じ喝采を浴びていました。
鳴り止まない拍手に応えるアンコール。
私はこれこそみんなが共感している証拠とうれしく思いました。
音楽とは「音を楽しむ」であることを改めて教えてくれたコンサート。
本当にいい企画でした。
伊藤さんをはじめとするスタッフの皆さん。
そしてこのコンサートに情熱を傾けた
レ・フレールのお二人に感謝したいと思います!

(一般社団法人 達人の館  代表 橘市郎)

↑このページのトップヘ