一瞬の静寂

音楽・演劇プロデューサー・橘市郎のブログ。日々思ったことを綴っています。 東宝(株)と契約し、1973年にプロデユーサーに。1981年独立後は、企画制作会社アンクルの代表をつとめ、中野サンプラザからの委嘱で「ロック・ミュージカルハムレット」「原宿物語」「イダマンテ」を、会社解散後は「ファンタステイックス」「ブルーストッキング レデイース」などのミュージカルを制作。 2001年京都芸術劇場の初代企画運営室長。

カテゴリ: コンサート

16日のヴェルディ・サロン・ライヴはお箏の市ノ瀬佳子さんの登場で、
部はご本人のオリジナル曲と宮城道雄さんの曲をソロで演奏。
部はフルート奏者の奥田裕美さんとの協演でした。
お箏だけの演奏は単調になるかもしれないと少し心配でしたが、
市ノ瀬さんのきりっとした演奏はまるで洋楽を聴いているような緊迫感があり、
さすが音大出身のプレイヤーという感じがしました。

部は、お箏とフルートの組み合わせがどうなるか興味津津でしたが、
フルートが尺八の役割をすると考えれば、
うまく行かないはずが無いと思っていました。
奥田さんはすでにヴェルディのライヴで実績を上げている方なので
大いに期待して聴いたのですが、結果は想像以上。
「春の海」はまるでドビュシーを聴いているような感じでした。
「シェルヴールの雨傘」にしても、
お箏の音がハープのように聴こえたりしてとても不思議でした。
最後に演奏された武満徹の「小さな空」などは
歌曲として作曲された作品ですが、イメージが広がり、
武満さんに一度聴かせたかったと思ったほどです。

よく、西洋音楽と和楽との違いが問題になりますが、
今日の演奏はその融合に対する、ひとつのヒントになると思いました。
お二人のジョイントはまたぜひ実現したいと思っています。
少し時間をおいて、新しいレパートリーを増やした後、
また帰って来て欲しいものです。
市ノ瀬さん、奥田さんありがとうございました。

さて、23日は指揮者としてもピアニストとしても活躍されている
坂口航大さんのピアノと京都市立芸術大学の3回生のカルテット
(オーボエ、ホルン、ファゴット、クラリネット)の競演です。
これも12日(日)に実現したジョイントですが、
ヶ月ぶりに新たなレパートリーを聴かせてくれます。
学生とはいえ、大変レベルの高い四重奏団と、
感性豊かな坂口さんのピアノを堪能してください。
お待ちしています。

(達人の館 代表・プロデューサー 橘市郎)

 

6月18日のヴェルディ・サロン・ライブは
「アンサンブル24」という9人編成の男声コーラスが登場、
70
歳前後の熟年パワーを爆発させてくれました。
アンサンブル24は同志社大学のグリークラブの同期生が
結成したグループで、結成当初は12人いたために、
「二十四の瞳」にかけて付けられた名前だそうです。

亡くなられた方もいて今は「十八の瞳」なのですが、
結成当時の名前で活動されているんですね。
昨年12月にローム・シアター・サウス・ホールで行われた
「江藤ゆう子 昭和を歌う」にゲスト出演していただいたご縁で
ヴェルディ・サロン・ライブにも出演していただきましたが、
当時よりパワーアップした感じでした。
ピアニストも入れると10名。
1人が5人のお客様を連れてくれば50人という計算になるとはいうものの
60名というお客様で会場は満杯となりました。

部はイギリスのマドリガル、黒人霊歌、ロシア民謡、日
本民謡をソロを交え、身振りと手振りで奔放に表現。
堅苦しさは一切なく笑いさえも醸しだしていました。
MCも冗談を言いながらゆとりたっぷりのものでした。
部はダーク・ダックスやデューク・エイセスのヒット曲と
ザ・ピーナッツのヒットメドレーをご愛嬌たっぷりに聴かせてくれました。
最後にお客様と童謡やフォークソングを合唱。
アンコールの時はすっかり会場がひとつになっていました。
往年のコーラスグループが次々と解散していく寂しさを
補ってくれるような楽しいライヴでした。
さすが人生の荒波を乗り越えてきた熟年パワーは違いますね。

今度の25日(日)はソプラノの講殿由紀奈さんと
ピアノの坂口航大さんのジョイント・ライブです。
お二人とも2度目の出演ですが、前回好評だっただけに楽しみです。
今週も盛り上がりましょう!

別件ですが、同じ25日に阪神競馬場で宝塚記念が開催されます。
北島三郎さんの持ち馬キタサンブラックが断然人気ですが、
このレースに私の持ち馬クラリティシチーが参戦します。
持ち馬といっても共同馬主なので500分の1の権利しかありません。
しかも、一番実績がない最低人気の馬です。
オリンピックではありませんが参加することに意義があるという感じです。
でも競馬に絶対はありません。
単勝と複勝を少しずつ買って応援するつもりです。
サロン・ライヴの稽古のため生観戦が出来ないので、
帰宅後のVTRを楽しみに見ることにします。
力いっぱい無事に走っておいで!

(達人の館  代表 橘市郎)

6月4日、青山音楽記念館で行われた
「ソプラノ 川越塔子リサイタル」が無事終わりました。
たった1日1回の公演ながら半年間かけていただけに、
ほっとしたやら、寂しいやらいつもどおりの複雑な気持ちです。
客席は結局60パーセントの入りでしたが
厳選されたお客様といった感じで、とてもいい雰囲気でした。

フランス・オペラから始まったのですが、
川越さんも細川さんも白い衣装で登場。
お二人とも美形なのでサロン風な華やかな幕開きでした。
川越さんの澄んだ声が響き渡り、会場全体が共鳴箱のようです。
大きなホールでは味わえない舞台と客席が
一体となった感じかとても新鮮でした。

1部では、お客様を飽きさせないように、
プラカードや風船を使ってのコミカルな演出が笑いを誘いました。
川越さん自身が考えたことですが、
ただ好きな歌を歌えばいいというのではなく、
お客様を楽しませようという心遣いが伺えました。
2部は一変して着物姿で登場。
「夕鶴」のおつうが与ひょうを思う心を切々と歌い、
「蝶々夫人」のアリア「ある晴れた日に」繋げていきます。
確かにこの曲は心情的に共通するものがあり、
川越さんの感性には脱帽です。
そして、蝶々さんが自害する直前に歌う「可愛い坊や」。
迫真の表情で歌う川越さんと蝶々さんの姿がだぶり
思わず涙がこぼれました。
夜、初めてオペラのアリアを聴いたという女性から
メールをもらいましたが、その方も涙が溢れたそうです。

この日は青山財団の田中理事長はじめ、
耳の肥えた方が大勢お見えになっていましたが、
みなさんからお褒めの言葉をいただきました。
単に外交辞令で言っていただいているのか、
心から言っていただいているのかは職業柄解ります。
満員には出来ませんでしたが、
本物の達人を紹介出来て良かったと思います。

桂川を越えて来て下さった京都のお客様。
東京、大阪、宮崎からはるばるお越しくださったお客様。
そして会館のスタッフの方々、ありがとうございました。
川越塔子さん、細川智美さん、本当にお疲れ様でした。
お二人とはまたご一緒したいと思います。
お二人にとって京都が第の故郷になることを心から願っています。

(達人の館 代表 橘市郎)

9月に春秋座で上演される歌劇『魔笛』の一般前売りが開始されました。
春秋座オペラは今回で8回目になりますが、
歌舞伎劇場の機構を活用した独特な演出で年々注目を集めてきています。
春秋座は3代目市川猿之助さんが初代芸術監督を務められましたが、
初めから歌舞伎とオペラの上演を想定して建てられています。

通常、歌舞伎劇場にオーケストラ・ピットは必要ないのに、
1.8メートルの深さを持つ本格的なピットが備えられています。
この発想は3代目市川猿之助さん(現2代目市川猿翁)が、
パリのシャトレー劇場で歌舞伎の様式を生かしたオペラ『金鶏』を演出して、
大成功を収めたことから生まれました。

私が猿翁さんに声を掛けていただいたのも
オペラ好きだったからだと思っています。
本当は春秋座でオペラの演出をぜひやって欲しかった。
中でも一番やって欲しかったのが『魔笛』です。
荒唐無稽な話ではありますが、猿翁さんなら、
大スペククトラルなオペラにしてくれたと思っています。

今回は三浦安浩さんの演出ですが三浦さんは『椿姫』『カルメン』と過去2回、
春秋座の機構を上手く生かして演出をしてくれたので楽しみです。
指揮の大勝秀也さんは春秋座初登場ですが、
私が信頼している公演監督の松山郁雄さんが
太鼓判を押している方なので安心です。
出演は春秋座最多出演を誇る片桐直樹さんをはじめとする実力者ぞろい、
ベテランとオーデイション組が競い合う舞台は火花が散ることでしょう。

さて、この『魔笛』で初日の<夜の女王>を努めてくれるのが川越塔子さんです。
川越さんはこれまで春秋座で、『夕鶴』のつう、『ラ・ボエーム』のミミ、
『蝶々夫人』の蝶々さん、『椿姫』のヴィオレッタ、
『セヴィリアの理髪師』のロジーナんと5役のヒロインを演じ分けてくれました。
今年はなんとコロラテューラ・ソプラノの大役を演じてくれます。
その川越塔子さんが今度の日曜日、6月4日に
青山音楽記念館でリサイタルを開催いたします。
15時の開演ですが、全編オペラ・アリアという豪華なプログラムです。
当日券もご用意していますので、ぜひお出かけください。
達人の館が自信をもってお届けする「川越え子リサイタル」。
どうぞお見逃しなく!

(達人の館 代表 橘市郎)

6月4日まで一番上に表示いたします
2017_KawagoeToko_A4
全編オペラ・アリアのプログラムでお届けするリサイタルです。
川越塔子さんの繊細な表現を
どうぞじっくりお楽しみください。

日 時 6月4日(日)15:00

入場料(全席自由) 5000円 ※未就学児の入場はご遠慮ください。
会場 青山音楽記念館

チケットのお取り扱い
 達人の館 0758745931 

 青山音楽記念館 075-393-0011

 チケットぴあ

↑このページのトップヘ